ザネレさんを専門医のいるブラワヨの病院へと搬送した。しかしザネレさんは、右腕を切断するしか方法はなかった。楽しいひとときとなるはずが突然の悪夢と化したにもかかわらず、ザネレさんは搬送される救急ヘリの中でも医師と会話するほど落ち着いた様子を見せていたようだ。そして怪我からわずか5日後、ザネレさんは予定通りジェイミーさんとの挙式を行ったのである。
式場や披露宴会場は事前に予約していたものの、ザネレさんの事故により急遽変更しなければならなくなってしまった。しかし病院側の配慮により院内のチャペルを使うことができ、母と姉を含めて3人のジェイミーさんの家族がイギリスからジンバブエに飛んで祝いの席に参加した。ジェイミーさんはその日のことを、このように話している。
「ザネレと私は挙式の後に病院へ戻ったのですが、ゲストらは僕たち2人抜きでそのまま披露宴会場に行ってもらいました。それが僕たちの望んだことでもありましたが、家族や友人らも素晴らしいサポートをしてくれました。」
「妻は5日前に悲惨な目に遭ったというのに笑顔を絶やすことがなく、彼女の強さには驚きました。退院したばかりなので数日間はホテルに滞在して、ハネムーンは延期することにしました。なんという結婚生活の始まりなんだろうとも思いましたが、なにより妻の勇気をとても誇りに思います。」
肩から腕にかけて包帯を巻いたザネレさんの姿は痛々しいものではあったが、美しいウエディングドレスを着て堂々と挙式する姿は、多くのゲストに感動すら与えたようだ。ザネレさんのいとこの男性は「本当に素晴らしいウエディングでした。右腕を失って辛いはずなのに笑顔で乗り越えて、ザネレはなんて強い女性なんだろうって感心しました。でも幸運なことに、彼女は左利きなんです。だからまたテニスのラケットを持つことができます」と語っている。ラケットだけでなく、挙式に欠かせない指輪交換も運よく左手が主役となる。そのおかげでザネレさんはジェイミーさんとスムーズに愛の誓いを交わし、利き手で結婚証明書にサインしたという。
ジンバブエではワニは最も危険な動物とされており、昨年では21人がワニの攻撃により致命傷を負っている。このニュースを知った人からは、「すごい! この女性、勇気あるわ」「なんて強い精神を持っている女性なんだろう。これからもその強さで乗り越えてね」「お幸せに!」といった声があがっている。
画像は『Metro 2018年5月7日付「Bride goes ahead with wedding despite having arm bitten off by crocodile days earlier」(Picture: Nkosizile Ndlovu)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)