エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】大泉洋の魅力を存分に引き出した『黒井戸殺し』 シリアスとコミカルのギャップは三谷幸喜ならでは

アガサ・クリスティ原作×三谷幸喜脚本のコラボは、フジテレビ開局55周年企画ドラマ『オリエント急行殺人事件』(2015年1月)以来となる。4月14日に放送された『黒井戸殺し』はアガサ・クリスティが1926年に発表した『アクロイド殺し』を原作に実写ドラマ化したものだが、野村萬斎演じる主人公の名探偵・勝呂武尊(すぐろ たける)が登場した瞬間に三谷版『オリエント急行殺人事件』のカラーが甦る。

名探偵・勝呂が醸し出す圧倒的存在感がドラマのベースにあり、そこにキャスト陣が挑んでいく感じだ。

富豪・黒井戸禄助(遠藤憲一)を殺したのは誰なのか? 黒井戸と恋仲にありながら寝室で亡くなっていた唐津佐奈子役を吉田羊、富豪の屋敷に暮らす親族や従者・知人を向井理、松岡茉優、藤井隆、余貴美子、秋元才加、寺脇康文、今井朋彦が演じ、さらに刑事役を佐藤二朗、そして富豪と親しい医師・柴平祐役を大泉洋、その姉役を斉藤由貴が務めた。

三谷が「キャストを見て犯人が分かるようなことはしたくない」と選んだ顔ぶれだけあって、それぞれに事情を抱える登場人物を演じると誰もが疑わしく見えてくる。

なかでも勝呂武尊が事件の真相を追うに当たり、「ワトソンくん的」立場の相棒に指名した柴平祐を大泉洋がシリアスながらもコミカルな面を滲ませて熱演、ある意味「野村萬斎 VS 大泉洋」のドラマではないかと思えたほどだ。そんななか、

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