米アリゾナ州の裁判所に12日、非常に珍しい起訴状が提出された。受刑者人権擁護員会からの弁護士がとある刑務所内で男の受刑者と面会し代理人となって提出したもので、その受刑者は自らの指を食いちぎるも医師に鎮痛剤の投与を拒まれて激痛に耐えているとのこと。あまりにも不当な扱いだとして医療施設の責任者などを訴えることを決意したという。『Newsweek – RawStory』などが伝えている。
アリゾナ州立のある刑務所に収監されている男の受刑者(氏名などは明らかにされず)が、そこの保健医療施設を提訴した。刑務所内の不当な扱いや劣悪な状況について、2012年には受刑者が集団で訴えることもあったアリゾナ州。2015年には和解に至ったが、アリゾナ州は改善措置として刑務所の保健医療行為は民間委託とすることを決定し、「コリゾン・コレクショナル・ヘルスケア(Corizon Correctional Healthcare 本拠地:テネシー州ブレントウッド)」社が受託業者として選ばれていた。
このたび原告となった受刑者は麻痺があるため車椅子を必要としており、かつて負った怪我が原因で体の痛みにも悩まされていた。どうしても鎮痛剤が欲しいとして男は指を噛むことを始め、ついには自分の左手の指3本を食いちぎった。コリゾン社による医療施設で激痛を緩和してくれるよう訴えたが、処置はなされるものの鎮痛剤は投与してもらえない。涙とともに「あまりの痛みで死んだ方がましです。でも死ねない。出所を待っていてくれる娘がいるから」などと弁護士に訴えたその受刑者。実際にベッドの脇には娘の写真が飾られていた。
デイヴィッド・ダンカン判事は先月、その起訴状をもとにコリゾン社の責任者であるリチャード・プラット氏に出廷を求めている。「過去にはガンを患った受刑者に痛みの緩和ケアをしてあげないような状況もあったようですね。(苦痛を呻く声で)あなたも夜は眠れなかったことと思いますが、いかがでしたか?」と尋ね、