2月4日放送の『週刊 ニュース深読み』(NHK)で「親御さんたちの噂話を子供はそばで聞いてますからね」と話すのは、原発事故が起こった直後から福島からの避難者を受け入れてきた都営団地の自治会長だ。多い時で120世帯が移住してきたが、一部の住民は受け入れに断固反対だったという。放射能への不安や「タダで住むのか」などの不平不満を訴える者、そして避難者に対する悪質な嫌がらせまでもが発生する事態になってしまったのだ。
受け入れに反対する人は放射能に対する知識が乏しかったり、家賃は免除されても事故でどれだけのものを失ってきたのかまで考えが及んでいなかったりと、避難者に対する誤解や正しい情報を持っていないため偏見が激しかったようだ。これを解くためには「まず知ることから始めよう」と自治会長は交流会やイベントを行ったり、自らも福島へ出向き現状を見て回った画像と共に報告会を開いたりした。その結果、随分と反対者は減り避難者への嫌がらせも無くなった。しかし今も、避難者へ心を閉ざしている住民はゼロにはなっていないという。
今回、「“原発避難いじめ” 子どもに何が?大人はどうする?」をテーマにした同番組には、視聴者から「もっとマスコミは福島県民が困っていることを取り上げて欲しい」「マスコミは“3・11”の節目には色々報道するけど、それが過ぎるとすっかり忘れたようになる」という意見がツイッターで寄せられた。するとメインキャスターの小野文惠アナが「本当にそのことは重く受け止めたいと思います」「でもここで一つだけ言わせてください」と前置きし、意を決したような面持ちで次のように話した。
「“伝えたら、伝わるのかな”ってこともあるんですよ。」
自分たちの工夫が足りないのかもしれないが(福島のニュースを)見てくれる人が少ないこと、そして放射線や放射能は感染しないことを伝えても信じてくれない視聴者が実際にいること、また「知りたい」「わかりたい」という気持ちが受け手に無ければ、情報をいくら発信しても理解は得られないとも彼女は話していた。
この小野アナの発言にツイッター上では「マスコミの限界を感じている現場の葛藤をうかがえた」「なんか切なくなった」と理解できるという声と、「“伝わるのかな”というコメントにドン引き」「絶句もの過ぎた」という厳しい意見に分かれている。
(TechinsightJapan編集部 みやび)