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writer : tinsight-yokote2

【海外発!Breaking News】11月は肺がん啓蒙月間 患者の20%は非喫煙者、女性に多いその現実と闘うために(米)

世界各地でタバコのパッケージに怖い文言や写真が添えられても、なおも増えている喫煙者と肺がん患者の数。そして国にもよるが、米国ではなんと肺がん患者の20%前後を非喫煙者が占めており、肺がんの原因がタバコだけでないことは明白だ。現在健康な人は少しでも生活の中からリスク要因を減らす努力をしてほしいとして、「11月は肺がん啓蒙月間です」と呼び掛けたのはニューヨークの『International Business Times/Medical Daily』。この国のがん死のトップは男女ともに肺がんであるとし、さまざまな要因について解説している。近年わかってきた新要因なども併せて紹介してみたい。

■環境要因としてのラドン
世界保健機関(WHO)は2005年6月、非喫煙者の肺がんの6~15%について放射線ラドンが重要な原因であると発表し、高濃度地域を示すマップの作製を進めてきた。これはウラン鉱石含有地などを中心に自然界に放たれる無色、無臭の放射性ガスで、米国環境保護庁(EPA)やアメリカがん協会(ACS)は「ウラニウムなど放射性物質を含んだ土壌や岩盤の上に家を建築することのないように」と強く呼び掛けている。壁や基礎の隙間からラドンが入り込み、室内、地下室、納戸、物置ではより濃度が高くなるためだ。

地球上のどこでもラドンは確認されているが、鉱山、洞窟、温泉地などでは特に濃度が高く、日本でもこれは当てはまる。微量の放射線による刺激は健康に有効といわれる温泉の中でもラジウム鉱石が豊富な秋田県の玉川温泉は特に有名だが、ここに肺がん患者も多数訪れているのはやや気になるところである。

■たった1年の喫煙が肺の細胞に与える影響
喫煙と肺がん発症の関係に率についてはご承知の通り。人の肺はタバコに含まれる発がん性物質の影響を受けることが判明しており、たった1年の喫煙で平均して150の肺の細胞に遺伝子変異が生じるという報告もある。

■受動喫煙の危険性
発がん物質の多くは火のついたタバコの先から放たれる「副流煙」に多く含まれている。このことはすでに広く知られているが、喫煙者がいると家族の非喫煙者が心筋梗塞や狭心症で死亡する危険性も1.3~2.7倍高くなるほか、中高年の非喫煙女性では肺がん発症率が30%も上昇するとの報告がある。「男の老後は女房の健康次第」とはよく言われるが、夫の吸うタバコが嫌煙家の妻にとってどれほど危険なものかは疑う余地もないようだ。

■食生活
アメリカがん協会(ACS)によれば、不健康な食生活を送る者では肺がん発症リスクもやはり上がるとのこと。一方で、喫煙者であっても「新鮮で安全な果物と野菜をたっぷりと摂る健康的な食生活を送ることで、肺がんの発症率を低下させられる」としている。

■女性であるということ
アメリカの女性においてガン死のトップは肺がん、これに乳がん、結腸がんが続く(日本では2位だが増加傾向にある)。多くが非喫煙者かつ発症年齢が若いことが特徴で、これは女性の方がベンゾパイエン、NNKほかタバコに含まれる発がん物質に対して弱く、傷ついた遺伝子の修復能力が低いことが理由として挙げられる。なお喫煙者においても、男性より女性の喫煙者が肺がんを発症する確率は約3倍高く、かつより少ない喫煙量で発症しているそうだ。

女性にはそもそも腺がん患者が多いが、閉経が早い女性では肺腺がんの発症が少なく、一方で閉経期にエストロゲン補充療法を受けている女性で発症例が多い。このことから、エストロゲンレセプターの発現、ホルモン受容体の数など“女性であること”自体も肺腺がんのリスクに関係しているもよう。喫煙している女性がエストロゲン補充療法を受けると、非喫煙女性の32倍も肺腺がんを発症するリスクが高まるとの報告もある。

なお分子標的治療薬であるゲフィニチブ(商品名はイレッサ)は、東洋人、女性、非喫煙者、腺がんの4つの要素を満たす患者に特に良好な反応を示し、有効率は50%以上とも言われる。「自分は肺がんではないか」と疑っている女性は、決して悲観することなくすぐに呼吸器科など医療機関へ。非喫煙者であっても40歳を過ぎたら1度くらいは自分の肺の様子をよく知っておくことが大切だという。

■家族歴
アメリカがん治療センター(CTCA)によれば、親やきょうだいの発症など家族歴もリスク要因のひとつであるとのこと。非喫煙者でありながら肺がんを患った直系親族がいる場合は、リスク要因を少しでも減らす努力が必要であるようだ。

最後に日本、そして世界の喫煙者の数について。全国の約2万人から得た回答をもとに、日本たばこ産業(JT)は「全国たばこ喫煙者率調査(2016年)」を発表。喫煙者の割合は5人に1人という19.3%。調査がスタートした1965年以降、男性は初めて30%を下回る29.7% となったというが女性は前年度から0.1%アップの9.7%。特に若い女性の喫煙率が高いようだ。また世界的にみると喫煙者の数は増えており、人口世界一の中国やアフリカ諸国、ヨルダン、トルコといった東地中海諸国では「急増」だという。

出典:http://www.medicaldaily.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)

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