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writer : tinsight-suzukoellis

【海外発!Breaking News】「女性に未来を!」酸攻撃の被害者、ロンドンファッションウィークでランウェイを歩く

ロンドンのオールドウィッチにあるウォルドーフホテルで開かれたファッションショーに、ラクシュミ・アガーウォルさん(26)とアデル・ベリスさん(24)がゲスト出演した。

インドのデリ出身のラクシュミさんは、今から13年前にアシッドアタックの被害に遭った。加害者はラクシュミさんの友人の兄(32)で、まだ13歳だったラクシュミさんに10か月間にわたって何度もプロポーズを迫り、それを断られると酸を浴びせたのだ。

酸は腕や手、顔に一生残る深い傷をつけ、ラクシュミさんの入院生活は2か月半にも及んだ。治療費などは22,000ポンド(約300万円)にも上り、家族や友人によって支払われたという。

一方でアデルさんは2014年8月、イギリスのサリーで元恋人に酸をかけられた。バス停でバスを待っている最中に起こった悲劇によって、アデルさんは髪の半分と片方の耳を失い、肩や腕にも傷跡を残した。

アシッドアタックの犠牲者は、世界的に見るとほとんどが女性だという。英紙『The Guardian』によると、イギリスでも過去10年間のアシッドアタック被害件数が2倍になっているとのこと。加害者が女性への自信喪失と心身のダメージを狙うことから、アシッドアタックは卑劣で悪質な犯行といっても過言ではない。

ラクシュミさんの人生を台無しにした男は、たった10年の刑期が科せられただけだったという。そしてアデルさんの元恋人だった男には、仮釈放に向けての審査を開始するまで最低13年の刑期が言い渡された。アデルさんは「人の一生を壊した者には自動的に終身刑が科されるべきだ」と主張する。

決して許してはならないアシッドアタックのキャンペーンのために今回、ロンドンファッションウィークで、ラクシュミさんとアデルさんは「#giveagirlafuture(女性に未来を与えよう)」というスローガンを掲げてランウェイを歩いた。

ラクシュミさんが設立した「Stop Acid Attacks」は、アシッドアタックで長期的な治療や入院とその費用が莫大にかかってしまった時に、経済的に余裕のない被害者をサポートする支援団体だ。この団体は3年前に、インド政府から「アシッドアタック被害者の医療費を負担する」という同意を得ることに勝訴したという。そんなラクシュミさんは被害に遭って以来、自分が家庭を持つことは一生ないと思っていたそうだが、現在はパートナーとその間に生まれた1歳5か月になる子供がおり、幸せな生活を送っている。

また、アデルさんは自身の経験を『Brave』という1冊の本にした。彼女は「泣いたら負け」と思い泣くことを拒否し、これからの人生に前向きに向き合っていく覚悟を決めたという。

彼女たち2人の勇気は、同じ被害にあった多くの人のエールとなるであろう。そして決して強さを忘れないラクシュミさんやアデルさんのような女性を、真の美しさを備えた女性というのではないだろうか。彼女たちはランウェイを歩く価値があるのだということを、今回のファッションウィークで実感した人がたくさんいるに違いない。

出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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