海外発!Breaking News

writer : tinsight-suzukoellis

【海外発!Breaking News】ゲイカップル 「不快だ」とスーパーから追い出される(英)

最近は日本でも「LGBT」という言葉を耳にすることが多くなった。LGBTとは性的マイノリティを表すレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった総称であるが、一般的に彼らはイギリスでもまだまだ肩身の狭い思いをしているようだ。今月8日、スーパーに買い物に来ていた1組のゲイカップルを見て、不快に思った客がセキュリティに報告、セキュリティがそのカップルを店内から追い出すという出来事があった。その後13日に、問題のスーパーでLGBTの人たちによる抗議デモが行われたことを英紙『Metro』が伝えている。

日本と比べて欧米ではこうした偏見が少ないように思えるものの、キリスト教を信仰する人たちが、LGBTを「アブノーマル」として捉えることがしばしばある。公共の場で堂々と彼らがキスをしたり、手を繋いだりしているのを見た時には不快に思う人も少なくない。

ロンドン東部ハックニー区の大手チェーンスーパー「セインズベリーズ(Sainsbury’s)」で、トーマス・リーズさん(32)という男性が同性の恋人であるジョシュア・ブラッドウェルさん(25)とともに買い物をしていた。彼らは今時の恋人らしく、手を繋いで店内を歩いていた。

ところがそれを見た他の買い物客が不快に思い、セキュリティガードに報告。客からの苦情を聞いたセキュリティの男性は、トーマスさんたちに「いちゃいちゃするなら外でやってくれないか。他の客の迷惑になる」と言い放った。

その後、トーマスさんは「2016年ですよ。確かに僕たちは性的マイノリティかも知れない。でも、手を繋いで買い物をしていただけで、どうして批判されなきゃいけないのですか」と『ITV News』のインタビューで語り「一瞬、60年代かと思いました」と皮肉った。

「僕たちは、変だという意識を持たずに普通のカップルのように接しています。相手の髪を梳く仕草をしたり、手を繋いだりすることは、ゲイのカップルにとっても愛情表現なんです。」

セキュリティガードに店外に連れ出され事情を聞かされたトーマスさんは当初、血が煮えたぎるような思いをしたという。「ゲイカップルは、恋人の手を握ることは不適切な行為だと他の客が言ったことに対して、まるで罪を犯しているかのような気分にさせられました」とトーマスさんは憤る。

事態が大きくなったために、後にスーパー側は謝罪として10ポンドのバウチャーを提供したというが、トーマスさんは「その程度では気持ちは収まらない」と言う。

この一件を知った『Huck Magazine News』編集部のマイケル・シーガロヴさんは、「Big Gay Kiss in」と題した抗議活動をハックニー区のセインズベリーズで行うことをFacebookで呼びかけた。

キャンペーンはその名の通り「ゲイのカップルがキスをする」というもので、トーマスさんたちを追い払ったスーパーに対し、キスをするゲイカップルで無言の抗議を行うというものだ。デモ当日には、問題が起こったスーパーに200人ほどのゲイカップルが集合。店内で多くのゲイカップルがキスをするという光景が見られた。

これに対して、スーパー側は「なにしろイギリス国内で従業員が16万人もいるために、ミスは起こりがち。トーマスさんたちに不快な思いをさせて申し訳なく思うし、ゲイの人たちがこのように抗議をしようとする気持ちも理解できる」とコメントしている。

ただ、この件を知ったネットユーザーの反応は賛否両論といったところだ。「ゲイカップルなんて気持ち悪い」「手を繋いでいただけではなく他の行為もしていたのでは?」「セキュリティの人に常識があって良かった」と苦情を入れた客とスーパー側を擁護する声がある一方、「ゲイカップルがちょっと手を繋いでたからって何だよ」「スーパー側は恥じるべき」「違法行為でもあるまいし…2016年にまだこんなことがあるなんて情けないね」といったトーマスさんたちに同情する声もあがっている。

時代は流れても、まだまだLGBTの人たちへの完全な理解は難しく、偏見も存在するという現実をこの一件が如実に表している。

出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)