桑田佳祐がパーソナリティを務めるラジオ番組で、年末恒例となったその年の邦楽シングル・BEST20を選んだ。桑田はランキングについて「人様の曲に順位をつけたり評論するようになったらおしまい」「深い意味は無い」と説明している。ただ、配信を含む邦楽シングルからおよそ300曲をフルコーラスで2回程度聴くという、かなりの熱量を要して選んだ楽曲だけに彼のセンスが光る内容となった。
山下達郎が12月25日に岩手県盛岡市で行っていたコンサートを、喉の不調から途中で中止した件に触れ「今日はすっかり元気で声でまくりの青森公演!」と安心した桑田佳祐。そんな報告から始まった12月26日の『桑田佳祐のやさしい夜遊び』(TOKYO FM)は、“桑田佳祐が選ぶ、2015年邦楽シングル・ベスト20プラスα”をテーマに届けられた。「まずはBEST10から」と発表されたのは10位から1位で、他は「10位に収まりきれなかった“圏外”」と「スポットライト」として紹介される。
■桑田佳祐が選ぶ2015年邦楽シングル・BEST10
・10位 『東京ドライブ』(TOKIO)
・9位 『鳥になりたい』(臼澤みさき)
・8位 『新宝島』(サカナクション)
・7位 『もんだいガール』(きゃりーぱみゅぱみゅ)
・6位 『愛を叫べ』(嵐)
・5位 『トリセツ』(西野カナ)
・4位 『海の声』(桐谷健太)
・3位 『君がいなくちゃ』(佐野元春)
・2位 『PLAYBACK』(JUJU)
・2位 『褒めろよ』(GLIM SPANKY)
・1位 『超えろ。』(槇原敬之)
2位については「どっちがと言えない2人」で、迷った末に同順位で落ち着いた。11曲それぞれに桑田佳祐らしいコメントを添えており、特徴的なものをピックアップすると次のように評している。
TOKIO:「長瀬くんの歌が上手い、演奏力も高い。作詞・作曲・編曲をするとはすごい」
きゃりーぱみゅぱみゅ:「全ての音源が歪んでいます、でもいかしています。この子は歌を歌うリズムがすごくいい」
嵐:「曲もビーチボーイズみたいで素晴らしいが、いい曲を歌いこなすメンバーがすごい」
なかでも4位に選んだ桐谷健太が歌う『海の声』に対しては「しびれた! 日本のジャック・ジョンソン。300曲聴いて、これはイイ曲だね、ちょっと泣いたね。日本の歌謡曲は進化していると思いました」と絶賛していた。
3位の佐野元春は同年代ということもあり「この男はスゴイ! ボブ・ディランを超えた、森繁久彌のようになるのでは」と桑田節全開。2位の『PLAYBACK』は「ファンやスタッフ、誰かに支えられているのをJUJUはよく分かっている。それが表れている」、同じく2位に選んだ『褒めろよ』は「なんだこれは、名曲であります! 日本の明るい未来を奏でるGLIM SPANKY! 松尾レミのボーカルがすごい!」と高く評価する。
1位の『超えろ。』(槇原敬之)には「彼は本当に天才! ベテランでね、良く作ってくれました。“これを作れるか?”というのがよくわかる」と感心していた。
さらに桑田が「10位に収めきれないものを“圏外”にしました、申し訳ない」と、順位をつけずに挙げたシングル曲は次のとおり。
『攻めていこーぜ!』(斉藤和義)、『ラブとピース!』(いきものがかり)、『Ki・mi・ni・mu・chu』(EXILE)、『赤裸ライアー』(Gacharic Spin)、『MUSIC MAGIC』(ファンキー加藤)、『黒い雫』(Superfly)、『指輪』(クレイジーケンバンド)、『長く短い祭』(椎名林檎)、『Super Special』(I Don’t Like Mondays.)、『DESTINY』(ねごと)、『Kokoro』(androp)、『STAR TRAIN』(Perfume)、『オトナチック』(ゲスの極み乙女。)、『Tweedia』(安田レイ)、『SUN』(星野源)、『あなたに恋をしてみました』(chay)、『Flowerwall』(米津玄師)、『tonight』(YUKI)、『汗は甘い口づけ』(ブルー・ペパーズ)。
桑田は発表しながら「圏外じゃないよ! 今年はレベル高い!」と繰り返す。BEST10までは何とかランキングをつけたが、それから後はついに絞り込めず“圏外”として紹介したのだろう。
そんななか、「順位というよりおもしろい!」と“スポットライト”で紹介されたのが『ディアブロ』(水曜日のカンパネラ)だった。桑田が「素晴らしいっ、知的、エライ、ちょっとやきもちを妬く」というから、よほど心に響いたらしい。
CD売上ランキングなどでよく見かけたり、メディアで耳にする楽曲とは違った作品を知ることができ、J-POP界にはまだまだ魅力的なアーティストがいることを再認識させられる。選ぶのは本当に大変だろうが、桑田佳祐にはこれからも続けて欲しい企画だ。
※画像はYouTubeのサムネイル。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)