来年の夏に来日50周年を迎えるビートルズを取り上げたフジテレビ系『僕らの音楽』のスペシャル番組に、世代の違う日本のアーティストたちがコメントゲストとして出演。ビートルズの思い出や影響、独自の分析など興味深い内容を語った。
ビートルズの音源(CD)と映像(DVD&ブルーレイ)からなる『ザ・ビートルズ1』の最新版が11月6日にリリースされる。10月9日に放送された『僕らの音楽 2015秋のスペシャル“ぼくらのビートルズ”』では、それに先行してビートルズの未公開映像を世界初公開。それとともにミッキー・カーチスから家入レオまで日本のアーティストがビートルズについてVTRでコメントを寄せた。
真心ブラザーズの『拝啓、ジョン・レノン』を作詞・作曲したYO-KINGは「とんでもない大天才2人と天才2人…4人がたまたまあの時代に出会ってバンドを組んだのは、大きな力が作用したとしか思えないくらいの偶然」とビートルズが稀有であることを力説する。またジョン・レノンとポール・マッカートニーに年の差があったことも幸いしたと考えており、「ポールは一番ジョンに認められたかった、“イイ曲作ったね”と…。ジョンはそう思わせるようなジョンであり続けたところがすごい」と読む。
サニーデイ・サービスの曽我部恵一もジョンの凄さを「俺が世界を制覇するにはポールと一緒にやらなければダメだ」と思ったところにあると見ている。ジョンがポールの才能を見抜き、それを引き出しながらも切磋琢磨したことが名曲の数々を生んだ秘密なのかもしれない。
ビートルズと同時代に日本で“ロカビリー3人男”として活躍したミッキー・カーチスが「ビートルズのおもしろいのは、今までのロックのコード進行と違うんだよな」と語れば、ムッシュかまやつも「そうなんですよ、未来を感じた!」と共感していた。
一方でJ-POP時代に活躍する小林武史は「ジョンはコード進行が複雑な中に節を作っていく」とその才能に唸り、TRICERATOPSの和田唱は「作詞して作曲して、自分たちで演奏して歌う。今では普通の形だが、ビートルズが基盤を作った」と証言する。
また、ウルフルズのトータス松本がビートルズに「バンドって、こうやって固まってやるんだよ」ということを学べば、斉藤和義は「バッとホントにエネルギッシュな演奏。ビートルズの音楽は“パンク”だという感じ」だと語る。世代は違ってもビートルズには多くのアーティストが影響を受けてきたのだ。
アイドルとしてもビートルズは先駆者だった。1964年に公開されたビートルズ初の主演映画『A Hard Day’s Night』(邦題:ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!)を高見沢俊彦(THE ALFEE)は小学生の時に観に行った。「兄貴に連れられて新宿の映画館に行ったら、映画なのにお姉さんたちがスクリーンに向かって叫んでるんだよ、“ポール!”“ジョージ!”って。怪獣映画を観るよりビックリした」と当時を思い出す。
音楽評論家の湯川れい子さんは、同映画について「初めて女の子が一緒になって“キャー!”と叫んだ最初の体験」だという。日本でもグループサウンズからアイドルブームにかけてファンが熱狂したあのシーンのモデルなのだ。
ぐっと若手になり、シンガーソングライターの家入レオ(20)が学生のときに「ビートルズを聴いている」と先生に話したところ、先生も若い頃から聴いていたことを知り「ビートルズってすごいな」と実感したという。彼女はアーティストなのでより感心が強いのだろうが、そうでない若者はどうなのか。
番組は違うが、10月6日放送のバラエティ番組『踊る!さんま御殿!!SP』でモデルの藤田ニコル(17)が最近使う「ごめんマッカートニー」というギャル語を紹介していた。彼女自身はポール・マッカートニーをハッキリとは認識しておらず、語感が良いから“マッカートニー”をくっつけたらしい。この世代になると、よほど音楽に興味がなければビートルズの影響力も薄いようだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)