承認されれば、女性にとっては「ピル」以来の画期的な薬の登場だと期待された“女性向けバイアグラ”こと性的欲求低下障害の治療薬「フリバンセリン(Flibanserin)」。製薬会社からの3度目の申請に対し、米国食品医薬品局(FDA)はこのほど正式にそれを承認した。セックスレスによる夫婦不仲や離婚を回避することにつながるのではないかと話題を呼んでいる。
過去5年の2度にわたる申請においては、さまざまな副作用の報告があることからFDAも承認を避けていたフリバンセリン。しかし幹部が女性ばかりという製薬会社「Sprout Pharmaceuticals」(米ノースカロライナ州)に研究開発の権利が売却され、女性の体への安全性を追求する研究が進んだことで印象が改善。またFDAの生殖保健薬諮問委員らの性差別意識が承認の邪魔をしているとの指摘を受け、今年6月からは是認への動きが高まり、このたびの申請に対しては「承認」はほぼ確実であろうと期待されていた。
閉経前でありながら性的欲求低下障害に悩む女性たち。治験ではその過半数において効果があると認められたものの、眠気・低血圧症(めまいや吐き気)・失神といった副作用が出る場合があり、それらは飲酒とともに強まることも分かっている。そのため基本的に投与の対象は“セックスレスによって感情が不安定になり、ストレスをためがち”という女性に限られるとのこと。医師による健康チェック、そして副作用があれば服用を中止して医師に相談する正しい判断が本人にも求められるという。
860万人ものアメリカ人女性が、性欲もなく夫婦生活にも自信がなくなったと悩んでいるという情報もある。このような薬が登場することによりアメリカの離婚率が下がるのであれば二次、三次的なメリットがあると考えることもできそうだ。なお、アメリカでフリバンセリンの処方が可能になるのは10月中旬だという。
※画像はfda.govのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)