「疲れているし、面倒くさい」 女性の性欲低下によるセックスレスも夫婦間の問題となっている現代、“女性向けバイアグラ”の登場を望む声は多かったのかもしれない。6年ほど前から欧米で話題に上るようになっていたある薬を、米国食品医薬品局(FDA)が18日にも正式に承認するのではないかと注目が集まっている。
“女性向けバイアグラ”として初めて開発された「フリバンセリン(Flibanserin)」という薬。その承認を望む声が世界各地で高まっていた中、米国食品医薬品局(FDA)の承認に大きな期待が集まっている。 ED治療薬バイアグラは男性の勃起を助けるものだが、これに対してフリバンセリンは閉経前のHSDD(hypoactive sexual desire disorder=性的欲求低下障害)に悩む女性のリビドー、つまり「性欲」を喚起、刺激する効果を持つという。しかし数々の副作用が報告され、メリット・デメリットのバランスについて専門家の間でさかんに議論がなされていた。ただし高い需要があるといわれ、FDAには市場からも「早く承認を」とかなりのプレッシャーがかかっていたようだ。
治験において過半数の女性が効果を感じる一方で、さまざまな副作用が報告されたことを理由にFDAが承認を避け続けた中、ドイツの製薬会社からフリバンセリンの研究開発の権利を買い取ったのは米ノースカロライナ州の「Sprout Pharmaceuticals」社。ここはCEOシンディ・ホワイトヘッドさんほか幹部にずらりと女性が並び、豊かな性生活を含めた女性の健康的な生活に寄与したいというのが経営の理念である。そのため女性の体への安全性にあくまでもこだわった研究と治験を進めてきたという。
またこのようなタイプの薬を承認するにあたっては各委員における性差別意識も強く反映されるという意見があり、これについては全米女性機構(National Organization for Women)、米国リプロダクティブ・ヘルス専門家協会 (Association of Reproductive Health Professionals)、米国看護師助産師協会(American College of Nurse-Midwives)ほか各種医療団体が注意深く関わってきた。承認申請はこれで3回目という今年、今月18日までにFDAは再び承認か否かを決定することになるが、6月には生殖保健薬諮問委員会の審査において圧倒的多数でその効果が認められたため、今回は良い返事が期待できるものとみられている。気になる3大副作用は眠気・低血圧症(めまいや吐き気)・失神とあり、飲酒との併用で強まることにも注意が必要だという。
なお昨年にはバイアグラについて、豪大学研究チームが「網膜の伝達酵素を阻害する作用により視力障害の危険あり。最悪の場合は失明も」と恐ろしい内容を眼科専門誌『Experimental Eye Research』に発表し、話題となっていた。FDAも一昨年からED治療薬数種と「非動脈炎性前部虚血性視神経症(略称:NAION)」との因果関係について調査をおこなっている。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)