パキスタンの動物園において、恐怖の見世物小屋的な存在として45年前から人気を呼んでいる「キツネ女」。ヒトの成人女性の首から下がキツネという設定だが、頭部を演じているのはなぜか男性。そのあたりが今、ちょっとした話題になっている。
パキスタンの「カラチ動物園」で人々からの投げ銭も嬉しい人気No.1のアトラクションといえば、木製の檻にたたずんでいる美しい「キツネ女」(画像はYouTubeのスクリーンショット)。首から下は剥製のキツネだが、頭は台の下に体を隠した人間。赤いストールを巻いてその境目を巧みに隠している。かつての日本でも「見世物小屋」はサーカスやお祭りに欠かせないものと言われていたが、アジアの国々では今でもその風習が残っているようだ。
「35年前にアフリカで生まれたムムタズ・ベグム(Mumtaz Begum Africa Wali)」と説明される、そのキツネ女役に扮しているのはムラド・アリさん(33)という男性。他界した父親の後を継いだそうだ。アリさんは見物客との対話が好きで、占い師のように予言をすることから受験や結婚についての相談希望者が相次いで訪れるとのこと。また「皆がハッピーになれば私もハッピー」と語り、冗談を放っては子供ばかりか大人も笑わせるという。
女と謳い、口紅を引き顔を白塗りするアリさんの痛々しさについて、園長のモハンマド・ファヒム・カーンさんは、「それがまたいいのですよ」と話している。「キツネ女は見物客に馬鹿にされ傷つけられます。そんな状況をユーモラスな笑いに変えられるのも男性ならでは」とアリさんの芸人魂を褒め称える。方言もマスターし、エンターテイナーとしての自覚に燃える仕事熱心なアリさん。今日もからかわれることを楽しみに、各地からたくさんの見物客が訪れることを待っているそうだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)