クモは虫を餌にしている…そんな常識を覆すような発見がこのほど科学誌に掲載され、クモの生態を研究している世界中の専門家をビックリさせている。なんと自分より大きな「魚」を好物としているクモが意外にも多いそうだ。
クモ学においてこのほど歴史を塗り替えるような発見があり、決定的瞬間を捉えた写真が撮影された。水際にはこれまで知られていた以上に多くのクモが生息しており、彼らは水中に潜っては魚を捕って食べているというのだ。科学誌『Plos One』にそんな意外な事実を発表したのは、ブラッドレイ・ピューシー教授率いる豪・西オーストラリア大学と、マーティン・ニフラー教授率いるスイス・バーゼル大学による合同調査チーム。“クモは虫を食べ、自分と同じ大きさの相手までを限度とする”などと決めつけてはならなかったようだ。
かつて確認されていなかった食の習慣を持つ、新種のクモ(蜘蛛)が存在しているということではない。水際にやってくる複数種類のクモについてじっくりと観察していたところ、結構な数のクモが「カダヤシ」といった小さな淡水魚を捕えては石の上など乾いた場所に運び、その魚を数時間かけてたいらげてしまう(画像はbbc.comのスクリーンショット)ことが分かったというのだ。
水際に生息といえば、これまでは小さな甲殻類や昆虫を水中で捕える「ミズグモ」くらいなものと思われていた。だが自分の体よりはるかに大きくて重い魚のような生き物を殺せるだけのほどの猛毒を武器とするクモが確認されており、この写真のように、腹部および頭胸部に対して足が非常に長く強いという特長をも持つクモも。合同調査チームは「水面ばかりか水に潜って泳げるクモは意外にも多いようだ。米フロリダ州の小川、池、沼といった淡水の水際で同様の報告があり、魚を好むクモは南極大陸以外のどこに生息していてもおかしくない」とまとめている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)