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writer : maki

【エンタがビタミン♪】『いいとも!』最後のレギュラーが証言。タモリと番組の歴史「お笑い芸人の港だった」

『笑っていいとも!』が新宿アルタで最終回を迎えた3月31日(月)の夜、フジテレビスタジオより『グランドフィナーレ感謝の超特大号』が生放送された。終盤には同番組、最後のレギュラーメンバーたちから『いいとも!』とタモリへ感謝のスピーチを行い涙と笑いを誘った。タレントのベッキーからはタモリの人柄と彼や番組を支えてきた家族やスタッフへの感謝が語られ、中居正広、関根勤、笑福亭鶴瓶らはコメディアンとしてのタモリと芸能界における存在の大きさをエピソードとともに証言した。

32年間の歴史の最後を飾る『笑っていいとも!グランドフィナーレ感謝の超特大号』には、歴代レギュラーが大集合しておそらく今後実現しないのではないかと思われる夢の競演となった。その事実から『いいとも!』とタモリがいかに愛されてきたかを実感したが、現レギュラーたちによるスピーチからも様々な思いが伝わってきた。

最初にスピーチしたベッキーは「タモリさんが引退するわけではないが、『いいとも!』のタモリさんに会えなくなるのはすごく寂しい」と語り出した。「クールでシャイで淡々と司会をしてきた」タモリだが、その内に秘める情熱と優しさは深い。あまり多くを語らない彼のそんな背中はいろいろなことを教えてくれたし、共演者やスタッフもその背中を見て毎日頑張れた。彼女はタモリの人柄を振り返って「これから少しずつ恩返ししたいです」と感謝していた。

トップのベッキーが真面目にスピーチしたことで、そういう空気で行われるかと思われた。指原莉乃、ローラ、木下優樹菜や柳原可奈子といった女性陣は涙ながらにスピーチしたものの、芸人を中心とする男性陣は何とかお笑いを入れつつタモリに感謝を伝えようとする姿が印象的だった。

28年半、最も長くレギュラーを務めてきた関根勤は冒頭から「森田さん…あっ、タモリさん…ちょっとあがっちゃって」とボケて、「そんなわけないだろう!」と周囲から突っ込まれる。長年慣れ親しんだ彼のギャグにタモリも安心して笑っていた。

関根はタモリの別荘で宴会をした時のエピソードを紹介している。女子アナが、あるデリカシーのないディレクターについて「本当に大嫌い」とぼやいていた。すると、ガウン姿のタモリが女子アナの隣に座り「ホントに嫌よねっ、あの人!」と女子アナになりきったのだ。関根は「30分くらいしたら、タモリさんが本当に女子アナに見えてきた」と感心したそうだ。

また、女性4人組のSPEEDがデビューした時のことだ。関根が「タモリさん、12歳らしいですよ。この次は“ようちえん隊”とか出てきそう」と妄想すると、普通ならばそこで引かれるがタモリは違った。「そのうち“赤ちゃん隊”…いや、“妊婦隊”もあるぞ」と乗ってきたので「映像はどうするんですか?」と返したところ、タモリは「超音波で撮るんだよお腹を」と答えた。関根勤は「その時、一生ついていこうと決めました」と明かしている。

タモリはこの日の放送で“密室芸”を披露しなかった。正午からの最終回ではテレフォンショッキングに登場したビートたけしが“表彰状”でタモリの類い稀なるお笑いの才能に触れていたが、グランドフィナーレでは関根勤がそれを果たしたといえるだろう。

お笑い芸人の中にあって、アイドルSMAPの3人はまだ知名度も低かった自分たちを育ててくれたタモリと番組への感謝を自然体で伝えている。その1人、中居正広は『いいとも!』終了に対して、「バラエティって非常に残酷だなと思います」と率直に語っている。

“歌にはライブの成功”、“ドラマにはクランクアップ”といったゴールがあり、そこを目指すから頑張れるが、「バラエティは、“終わらないことを目指して”進むジャンルなんじゃないか。覚悟を持たないといけないジャンルなんじゃないかな」と思いながら「バラエティを中心に、SMAPとしてやらさせてもらおう」とここまできた。

そんな彼の「やっぱり、バラエティの終わりは寂しいですね」「ゴールのないところで、終わらなければならない。こんなに残酷なことがあるのかな」といった言葉には重さを感じる。

そこまで覚悟を持って『いいとも!』に臨んできた中居正広。彼は最後に、「どんなことがあっても僕は20年間、アルタに通い続けました」と主張して、「ある人は、お正月になったら1年に1回休んでる…」とレギュラーメンバーへの不満を口にした。

中居流のジョークなのだが、そのバトンを受けてスピーチしたのが笑福亭鶴瓶だった。鶴瓶は目を細めながら「みんなはタモリさんから怒られたことがないというが、俺だけは怒られた」と明かす。お笑いBIG3のうち「たけしさんとさんまは会うと緊張するが、この人は緊張しない。そこがいいところ」とタモリの人柄に触れていた。

さらに彼は「芸人や素人の高校生など『いいとも!』に出たいと思ってきた者は多いのに、それが閉ざされた」と声を荒らげた。タモリや『いいとも!』と付き合いが長く、お笑い界の重鎮でもある笑福亭鶴瓶だから言えることだ。

「タモリさんは芸人たちにとって“港”みたいなもんや。これは作らなあかんで、この人の番組を! フジテレビも“港”がなくなったら路頭に迷うで」と訴えた。

タモリが笑福亭鶴瓶に『いいとも!』が終わることを伝えたのは、昨年の10月だったという。「あんた、納得してるの?」と鶴瓶が問うと、タモリは「感謝している」と心から答えた。その時、鶴瓶は「何十年間も出てきた番組が終わるのに、すぐに『感謝している』と言えるのが凄い」と感心したそうだ。

『いいとも!』の終了はずいぶん検討された上での決定だろう。しかし、レギュラーたちのスピーチを聞くに付けてタモリが“港”だという鶴瓶のたとえは的を射ているように思える。彼は他にもレギュラー番組を持っているが、“港”としての役割を発揮できる番組があってもよさそうだ。

※画像は『ベッキー becky_dayo Instagram』のスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)

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