お昼のバラエティ番組『笑っていいとも!』最後の放送で、テレフォンショッキングのゲストとして登場したビートたけしが番組と司会のタモリに対して表彰状を読み上げた。4分を超える長文はたけしならではの毒舌ギャグのオンパレードで、終始会場も爆笑に包まれた。お笑いBIG3同士だから通用する“表彰状”に、タモリも「心温まる祝辞をホントに…」と喜んだ。
3月31日(月)の正午。新宿アルタから『笑っていいとも!』最終回となる8054回目が生放送され、名物コーナー“テレフォンショッキング”の最後のゲストとしてビートたけしが出演した。「ビートたけちゃんですどーぞ!」とタモリから紹介されて、階段を下りてきた彼はフジテレビのマークが入った紋付袴姿だ。「これ何なの?」と突っ込むタモリに、たけしは「一応今日は表彰状を読みに…」とスタンドマイクに向かって長い巻物のような表彰状を読み出した。その全文は以下のとおりである。
表彰状 タモリ殿
長らく『笑っていいとも!』の司会を務めてきたタモリさんに私から表彰状を贈りたいと思います。ちなみに、この表彰状は全てゴーストライターが書いたもので、私とは一切関係が無いことをご了承ください。
本日は、32年間続いた国民的長寿番組『笑っていいとも!』の最終回というハレの日に、世界的人気映画監督であり、高額納税者人気タレントでもあり、さらに総理大臣にしたい男・5年連続NO.1、上司にしたい男・3年連続NO.1という人気と実力を兼ね備えた、超一流タレントである私を呼んでいただき誠にありがとうございます。
私と『笑っていいとも!』の思い出といえば1983年2月、理屈ばっかり言っていた田中康夫が気にくわず、生放送中に乱入し、首を締め上げた。その結果、翌日のスポーツ新聞には「たけし心身症」と書かれてしまったことも今となってはいい思い出です。
『笑っていいとも!』といえば、“いいとも青年隊”を忘れるわけにはいきません。かつて女をだまし金をせしめ、詐欺恐喝で訴えられたH賀研二さん、パチンコでマンションを買ったといばっていたK保田篤さん、未だ『ふしぎ発見』でしか姿を見ることの無いN村真さん。さらには“いいとも青年隊”卒業後、ホームレスになってしまったK田健作さん。そして、まったく売れなかった萩本欽一さんのところの“あさりど”などなど。数々の一流タレントを輩出してきたことを忘れてはいけません。
そして、何といってもこの番組の名物コーナーである“テレフォンショッキング”。友達を紹介するという名のもとにいきなり電話をして出演をお願いするという斬新な企画でありました。しかしながら、女優の矢田亜希子さんが大竹しのぶさんを友達として紹介した時、思わず「はじめまして」と言った瞬間。それを聞いた時、私はショックのあまり耳が聞こえなくなりました。そしてまた、得意の作曲活動を諦めなければいけない事態に陥ってしまいました。改めて芸能界というのはヤラセの世界だなと痛感した次第でございます。
そして、『笑っていいとも!』を語る上で32年の間、初めて新宿に来た番組観覧の田舎者を相手に何もやらず、間抜けな芸人に進行をまかせてきたタモリさんに触れないわけにはいきません。かつてあなたは、ヘルスの呼び込み、オレオレ詐欺の出し子、パチンコ屋のサクラ、フィリピン人との偽装結婚の斡旋などを経て芸能界に入り。イグアナの形態模写、四か国語マージャン、意味不明のハナモゲラなどの卓越した芸で、一部のえせインテリの集団から熱狂的な支持を受け、あれよあれよという間に国民的人気番組の司会者にまで上り詰めました。
しかし、そんな『笑っていいとも!』も今日をもって終わってしまうのかと思うと私としては「残念ではありません」。ただ、明日からはO倉智昭さんの“かぶっていいとも”という番組が始まると知った時。私はその時、思わず聞こえなかった耳が回復し、今では歪んで聞こえるまでになりました。最近では新垣さんとの一度壊れた友情も復活し、今では2人で元気に作曲活動にいそしんでおります。ですからタモリさんも何の心配もすることなく、2流とも3流ともつかない芸人しか出ないと言われている『タモリ倶楽部』に全精力を注いで頑張っていただきたい。
2014年3月31日
『A女E女』(エーおんなイーおんな)復活を望む会。会長 イジリー北野
以上の表彰状をビートたけしが読み上げる間、タモリは「何が言いたいの?」と突っ込みながら実に楽しそうで、スタジオアルタも観客からスタッフまで爆笑の渦に包まれた。
さらに、たけしは大きな目録をいくつも抱えるとタモリに贈呈している。「青山葬儀所割引券」、「紙おむつ1年分」、「ゲートボール高級スティック」、「都バス無料券」、「3D入れ歯交換券」、「多摩霊園永代供養券」だった。
トークの中でタモリが、明日から『笑っていいとも!』のために新宿アルタに来ることもなくなり「これまで、休みの日は朝からビールを飲むのが楽しみだった。暇になると毎日朝からビールを飲むのではないか…だいたい、7月ごろには死ぬんじゃないかと心配している」と笑う。すると、彼はたけしから贈られた「青山葬儀所割引券」と「多摩霊園永代供養券」を手にとって「これ、ありがとうございました」と感謝して見せた。
ビートたけしらしく仕込んだネタを、タモリもトークに絡めて笑いにするという、お笑いBIG3らしい見どころ満載のテレフォンショッキングとなった。
お笑いBIG3といえば、ビートたけしが最後に「明日の友達を紹介しないと…」と突然、明石家さんまに電話すると「どうも、佐村河内ですが?」「どうも新垣です」とボケあった。さらにタモリから「明日、大丈夫?」と問われたさんまは、「明日、大丈夫よ。いいともー!」と返したのである。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)