やしきたかじんさんが1月3日に心不全で亡くなる寸前まで、正月はハワイで過ごす予定だったことが分かった。たかじんさんと親交のあった芸能リポーターの井上公造が、バラエティ番組『上沼・高田のクギズケ!』で「たかじんさんは1月4日からハワイに行くと聞いていた」と証言したものだ。また、昨年の2月にハワイでたかじんさんと過ごした井上が、「上沼恵美子と俺は一匹オオカミやから大変なんだ」と聞かされたことを明かして、MCの上沼をしんみりさせた。
1月12日に放送された『上沼・高田のクギズケ!』では、お互いに関西の代表的なタレントとして知られる上沼恵美子が亡くなったやしきたかじんさんを偲んだ。「たかじんさんが売れない時代からよく飲みに行った」という彼女は、「彼は実は細かいところに気がついて優しい」と彼の部屋で飲んだ時の思い出を語った。上沼が赤ワインをうっかり白いカーペットの上にこぼしてしまい「怒るやろな」と思ったそうだが、たかじんさんは「大丈夫か?」と彼女のスーツの汚れを拭いてくれたという。
豪快に差し棒を振り回すたかじんさんのキャラクターは、テレビ用に彼が作り上げたもので「やがてそれが普段のやしきたかじんの性格になっていったのではないか」。そう上沼は持論を語り、彼が本当は気遣いのできる優しい男だったと振り返っていた。
同番組のレギュラー井上公造も、たかじんさんを長年取材してきた間柄だ。「親交が深いというよりも、いろいろと世話になった」と彼もたかじんさんの人柄を偲ぶ。
その井上公造は昨年末からハワイに取材に行って、1月7日の夕方に日本に帰ってきた。彼が「たかじんさんは1月4日からハワイに行くと聞いていたので,『入れ違いだな』と思っていた」と話すと、上沼が「絶対に死ぬ気はなかったよね!」とたかじんさんはまだまだ生きるつもりだったはずと主張した。
彼女の気持ちに共感するように、井上は「ハワイの友人から見せてもらったが、たかじんさんが(ハワイに)来るときのためにオーパス・ワンという高級ワインを箱買いしてあり、アメリカ本土でしか売っていない葉巻を取り寄せてあった」と明かし、「ということは、少なくとも体調はいいとしか受け取れない」という。彼はメールで訃報を知っても「にわかには信じられなかった」と、帰国した7日のことを思い出していた。
井上は昨年の2月に、ハワイでたかじんさんと会っている。体調もかなり良く、「ゴルフに行こうか」と誘ってくれたそうだ。実はその前年、2012年12月5日に中村勘三郎さんが亡くなっている。たかじんさんと同じ、食道がんだった。
その時、たかじんさんは井上に向かって「公造、日本の芸能界のことを考えたら、勘三郎が助かって俺が死んだ方が芸能界のためだった」と言い出したのだ。「そんなこと言わないで…」と返す井上に、彼は「でもな、せっかく助かった命だから俺は頑張るぞ」と気力十分に答えたという。
また、たかじんさんは売れない時代から飲みに行った上沼恵美子について、「上沼と俺は同じように関西で冠番組をやっているが、全く後ろ盾がない。一匹オオカミでやってるんだよ」と語ったそうだ。「そんな自分を叱咤激励して、ものすごいパワーを使わないとならない。そんな2人と仕事ができて公造、お前は幸せだぞ」と言い聞かせたのである。
たかじんさんのそんな言葉を知った上沼恵美子は、「本当ですか…うれしいな」としんみりした。やがて、彼女は「数字をとらないと番組は終わる。気を抜けないのよ。毎日辞表をつきつけられているようなもの」と大きな事務所に所属していないタレントの厳しさを口にした。たかじんさんもそんなプレッシャーと闘いながら頑張っていたことを証言するかのようだった。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)