エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】蒼井そら、中国での人気がやっぱり凄い。領土問題に触れても「性の師匠を守りたい」。

日本のタレント・蒼井そらが、中国で“先生”と呼ばれる人気者となっている。昨年に中国で行われたサッカーの試合で、「尖閣諸島は中国のもの。蒼井そらは世界のもの」という横断幕が掲げられて日本でも話題となった。その時は「スポーツにまで尖閣諸島問題が飛び火した」と注目されたのだが、今でもこの横断幕は中国国内のいたるところに登場する。中国で蒼井そらがブレイクした秘密を情報番組『Mr.サンデー』が追ったところ、その横断幕の真意が見えてきた。

AV女優出身の蒼井そらは現在、セクシータレントとしてバラエティ番組などに出演しているが、数年前から中国をはじめとする海外での活動が多くなった。2010年に彼女がツイッターをはじめると、中国からのアクセスが急増して「性の師匠・蒼井空老師(蒼井そら先生)」と盛り上がったのだ。中国ではAVの所持や鑑賞が禁止されているが、なんらかの方法でAV時代の蒼井そらを知った中国ファンがツイッターに殺到したようだ。その頃から、蒼井そらの中国での人気に火がつき始めた。当初は一部の男性ファンから“性の師匠”と呼ばれた彼女だが、わずか3年の間に女性も含めた多くの人々から“先生”と呼ばれる存在になったのである。

11月3日の『Mr.サンデー』では、中国のイベントに出演した蒼井そらが数え切れないほどのファンに囲まれて「先生!」と慕われる場面が放送された。AV女優としてではなく“蒼井そら”という人格が、彼女の中国での人気の要因なのだ。2010年4月14日の中国・青海省地震で大きな被害があった。その時、蒼井そらはすぐに日本のブログで支援を呼びかけている。そうした行動が中国でも注目され、彼女がツイッターでつぶやいた言葉が中国人の心に響いていったのだ。

「たとえAV女優でも。たとえ浪人生でも。たとえニートでも。どんな職業だろうと自分の思いがあるなら、人が否定するような自分でも、真っ直ぐな自分でありたいと思う。」

「私は生きるために、カメラの前で服を脱いでいる。服をきちんと着ているあなたは、個人の欲望と人をだますためにカメラの前に立っている。」

このような言葉が“蒼井そらの名言”として「誰も彼女を批判できない、中国の役人や上層社会の人の誰よりも純潔だ」、「中国の大スターはこんな本音を言えない」と支持されていく。やがて、彼女は「先生」と呼ばれるようになった。

番組ではさらに「尖閣諸島は中国のもの。蒼井そらは世界のもの」と書かれた横断幕について調べた。前述の日中サッカーの試合で中国人が掲げたものと同じ内容の横断幕は、2012年に起きた反日デモの中でも見られた。そして、普段も中国の街角ではいたるところに掲げられている。

中国のネットユーザーに横断幕について質問を投げかけると「シャレだよ、マジに受け取らないで」という反応があるなかで、興味深い解釈があった。「前半は“日本政府”に対して、後半の『蒼井そら』は“広電総局”に対しての言葉」というものだ。

中国のテレビやラジオの放送を監視・検閲する広電総局は昨年、「品位に欠ける者をテレビやラジオに出してはならない」という通達を出している。「蒼井そらもその対象になるのでは?」という噂が広がり、若者を中心に「これは我々への言論統制だ」と受け止める者が反発した。ネットには「蒼井そらを禁じるのは非常に愚かである。彼女は我が国の多くの芸能人よりも素直で勤勉だ」という意見も書き込まれた。そんな主張がネットからリアルへと広がって、あの横断幕が登場したのである。

つまり「尖閣諸島は中国のもの。蒼井そらは世界のもの」という言葉は、尖閣諸島の領有権に触れて中国政府の立場を立てつつ、「蒼井そらはみんなのもの」と主張することで、広電総局が蒼井そらを否定できないようにと計算されたものだと考えられる。

蒼井そらは、中国でそこまで影響力を持つ存在になった。彼女は番組のインタビューで、「なんでこんな感じになったのか自分でも分からない」と答えている。だが、「私は日本人だからという気持ちは特に持っていない。あなた達と同じ人間ですとしか思っていない。国という感覚を考えたこともない」という彼女の生き方に人気の秘密がありそうだ。

そんな彼女だが、番組放送時は日本にいなかったようだ。『蒼井そら(SOLA AOI)(aoi_sola) ツイッター』で、ファンから「そらちゃん、真面目なニュース番組で真面目に議論されてます」と知らされて「真面目に討論とか申し訳ない私ごときが」と恐縮していた。

また、「先生と呼ばれているそらさんにこういうことを聞くのは恐れ多いことですが、今日の下着の色は何ですか?」と聞かれると「しょうがねーなー、黒のレースです」と答える、いたって自然体な人柄だ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)