いよいよ夏クールのドラマも最終回ラッシュを迎える。火曜9時放送中の『息もできない夏』もいよいよ今夜、最終回を迎える。
谷崎玲(武井咲)は母・葉子(木村佳乃)と妹・麻央(小芝風花)と仲良く暮らしていた。アルバイト先で社員登用の話が出たのをきっかけに自分に戸籍がないことを知る。夢を叶えるためにも戸籍取得へと区役所職員の樹山龍一郎(江口洋介)に助けられながらも困難に立ち向かっていく。
まず「無戸籍」という重いテーマを夏クールに持ってきたことに驚いた。今クールは、比較的若手の明るいコメディものが多い中、少し取っつきにくいのではと思えた。しかし、戸籍獲得にはどのような手順が必要なのか、なぜ無戸籍児が存在するのかなどをセリフの中で分かりやすく説明している。現状を知らない人々が知るきっかけになるのではないだろうか。
母は前夫・鮎川宏基(要潤)からDVを受け、逃げるように家を飛び出し、その後谷崎と結婚し玲を出産した。しかし、離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子どもと認識される「離婚後300日問題」により谷崎家の籍に入ることができなかったため、玲は無戸籍児となる。
戸籍獲得には家族の協力が必要不可欠という。困難は多いが玲は家族をはじめ周囲にとても恵まれている。「無戸籍児」という問題に直面するも、きっとこんなに順調に事が運ぶことは実際少ないのではなかろうか。玲と同じ無戸籍児の草野広太(中村蒼)のように家族の協力も得られないままの人も多いのではないか。まだまだ知られていない現実も多いだろう。
ドラマの後半は玲の父親は誰なのかが焦点となっている。このように、ドラマとして取り上げられれば、少なからずその事実を知り、詳しく知ろうとする人もいる。フジテレビにどこまで意識していたのかは分からないが「無戸籍児」を生み出す多くの理由でもある「離婚後300日問題」への問題提起するドラマにしても良かったのではないだろうか。
本当の父親を知った玲は何を思い、どのような道を歩むのか、そして周囲は玲をどう受け止めるのか、その行方は見届けたいと思う。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)