南アフリカのケープタウン市長がラップに挑戦した。単にラッパーになりたかったのではなく、若者へ向けた市長なりのメッセージを伝える手段としてである。6月16日の「若者の日(Youth Day)」にちなんだ記念すべき曲だという。
6月半ばにケープタウンのスタジオで女性市長がラップを披露した。ケープタウンのパトリシア・デ・リール市長(61)は黄色いジャケットを身にまとい、両人差し指を立ててリズムを取りながらラップを歌う。デ・リール市長は単なるラッパー好きが講じたわけではない。若者の気持ちに少しでも近づきたいからだという。彼女は、ドラッグやアルコールなどの常習となって道を踏み外した若者のニュースを聞くたびに心を痛めていた。どうにかして若者に気持ちを伝えたいという強い要望から、若者に受け入れやすいラップでメッセージを伝える手段を選んだのだ。そして、アパルトヘイト時にカラードという混血人種として分けられた市長は、アパルトヘイトに立ち上がった若者についても語っている。
「1976年6月16日、アパルトヘイト下の南アフリカで暴動が起き、多くの若者の命が奪われた。人種差別に苦しんでいた(市長を含め)我々のために立ち上がった、彼らの勇気ある行動を称える記念としてもこの歌を捧げたい」と市長は述べている。
また、市長は「ラップは若者の核心に触れることができる音楽だと思っている。この曲では希望だけでなく、アルコールやドラッグ依存を治療している施設の情報などもラップで歌っている」と曲について紹介した。「薬物常習の若者らはケープタウンの無料施設が利用できる」や「(24時間体制のアルコールやドラッグに関する)ヘルプオンラインに電話して!あなたの人生を変えよう」などといった歌詞が並んでいるそうだ。
この市長のラップは現在ラジオなどで流されている。6月26日には市長の政策論もラップになる予定だ。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)