人は長い人生の中で、重い病気を患ったり大切な人を失ったりした時、そして解決するのに厄介な問題に直面した時、誰かに頼りたくなる心境になるのは理解できる。だがそんな心身が弱っている人に言葉巧みに近付き、お金を巻き上げようとする人たちがいることも、知っておかなければならないだろう。
芸名を占い師に相談するケースが多いことは、よく知られている。特に売れない芸人やヒット曲に恵まれない歌手は、占い師に改名について相談し新しい芸名をつけてもらうケースも多いようだ。
5月4日放送の『芸能★BANG+』ゴールデン2時間スペシャル(日本テレビ系)には、風水師のアドバイスで改名した元大相撲力士で横綱の花田虎上(まさる)氏や、昨年11月に占い師タレントのゲッターズ飯田に芸名を決めてもらってから、大ブレイクしたというお笑い芸人・スギちゃんらが出演。スタジオに登場した現役占い師からは、若手のアイドルを抱える芸能事務所からも、グループのメンバー交代について人選の相談まで受けたことがあると明かされた。
この番組に出演していたロックシンガーのダイアモンド☆ユカイも、人気が低迷し収入が激減していたころ、芸名のことで占い師に相談したことがあるのだ。彼は芸名を変えれば全てが上手くいくとは考えていなかっただろうが、何か好転するきっかけが欲しかったのだろうか。だがこの時は、芸名を変えることは勧められなかったそうだ。
失意のどん底だったユカイは、友人にある占い師を紹介された。さっそくその占い師を訪ねたユカイは、現在の彼の悩みや置かれている厳しい状況をズバリ言い当てられたという。すっかり信じ込んでしまったユカイに、占い師から飲み物が振舞われた。それを口にしたユカイは、なぜか意識がボーッとし始めたそうだ。だが、目の前に差し出された高額な壺の購入に関する書類を見たとき、彼は我に返った。まさに売りつけられる寸前だったのだ。
すると番組中盤からゲストとして登場した内田裕也が、ユカイに向かって「ロックやってて、占いなんか信じちゃダメだよ」と一喝。恐縮するユカイを尻目に「占いは、人を不幸に陥れるものではない」など長々と持論を展開していた。
ところで内田の妻も芸名を、悠木千帆から樹木希林に改名している。これは1977年に行われたあるチャリティオークションに、芸名“悠木千帆”を自ら出品し落札されたからである。有名女優として知れ渡っていた芸名を、惜しげもなく手放したのが何とも彼女らしい。自らの進むべき道を他人に委ねるという考え方は、彼女には全く無いようだ。
(TechinsightJapan編集部 みやび)