2月2日に南アフリカ異民族研究所(SAIRR)は、南アフリカ内の黒人層で最も多い死因が結核であることを発表した。人種によって死因は異なるものだろうか?
このたびSAIRRが、南アフリカ国内において人種別による主な死因を調査し報告した。それによると、黒人層では結核が最も多い死因であり、続いて流感(インフルエンザ)、肺炎、コレラなどの腸感染症となっている。
さらにカラードと呼ばれる白人と黒人やマレー系との混血人種では、結核のほかに糖尿病や慢性的な肺疾患などが主な死因であった。そして白人の死因は圧倒的に虚血性心疾患、つまり心臓への血液供給が減少するというものである。また、脳卒中や脳梗塞なども多い。インド系は糖尿病、心疾患が多くみられた。
この結果からSAIRRは、自然死の死因と社会経済は強い関連性があると考察している。つまり「心疾患は不健康なライフスタイルが主な原因で、中・上流階級で多く見られる死因。またコレラなどの腸感染症は、汚染された飲み水によることが多く、貧困層の生活との関連性がある。」と貧富の差が死因に現れていることを示す。
これらのデータは2010年11月の南アフリカ統計局による情報をもとに、SAIRRが2010-2011年の社会経済をもとに分析したものである。
南アフリカでもっとも多いと言われているHIV・エイズは、黒人層の死因のトップではなかったものの10位以内には入っている。しかし、これは結核の死因と結びついているようだ。SAIRRは「結核がHIVの日和見疾患、つまりHIVで免疫力が低下したために結核が発症してしまうもので、黒人層のHIV感染者が多いことが説明できる。」と述べている。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)