人気ラッパーのニッキー・ミナージュ(27)が、12日の第54回グラミー賞授賞式で行った迫力満点の「エクソシズム」風のパフォーマンスが、カトリック団体の怒りを買ってしまった。
ニッキーは、急死したホイットニー・ヒューストンへの追悼ムードで溢れたグラミー授賞式終わり近くに、新曲「Roman Holiday」を歌った。これは彼女の新キャラクターであるゲイの男性「ローマン・ゾランスキー」が、悪魔に取り憑かれたことをイメージさせる曲で、教会を模した赤と黒のステンドグラスの荘厳なセットをバックに、修道士の衣装を着たバックダンサーや聖歌隊を従えたニッキーが「オスカー・デ・ラ・レンタ」のドレスを着て所狭しとラップを披露する、大迫力のパフォーマンスであった。
冒頭ではホラー映画『エミリー・ローズ』のワンシーンを彷彿とさせるビデオが流れ、ニッキーが「エクソシズム(悪魔祓い)」にやって来た神父の前で懺悔をしてみせるところから曲が始まる。その後の曲のクライマックスでは、ニッキーが祭壇にはりつけにされたり、挙げ句の果てには「悪魔の生けにえ台」に横になったままのニッキーが宙に浮くといった演出が行われ、観衆の喝采を浴びていた。
しかしこのパフォーマンスを見て腹を立てたのが、全米最大のカトリック権利団体で、NYに本部を置く「カトリック・リーグ」だ。翌日に「ニッキー・ミナージュは悪魔に取り憑かれているのか?」という抗議の声明文を出し、カトリックのモチーフを多用して偽のエクソシズムを舞台でセクシャルに演じたことを非難した。
同団体のビル・ドナヒュー会長は「ニッキーが本当に悪魔に取り憑かれていたかどうかは分からないが、このパフォーマンスを許可したザ・レコーディング・アカデミー(グラミー賞の主催元)の無責任さを非難したい。彼らは今までアーティスト達に、ユダヤ教やイスラム教を侮辱することを許したことはないのに。」と怒りをあらわにしている。
名指しで非難されたレコーディング・アカデミーでは、「ニッキーが選んだ曲のチョイスを尊重したまで。」と弁解しているが、当人のニッキーは、「もっと能天気なポップソングを歌うこともできたのに、レコーディング・アカデミー側がこの曲に引き込まれた。」ために、「Roman Holiday」を歌うことになったのだと説明している。
なお、このパフォーマンスは米メディアの間でも賛否両論に割れており、「やりすぎでは?」、「悪趣味」という意見や、「ニッキーはレディー・ガガを追い越しきれなかった。」という批評が数多く見られた。
先の5日にニッキーがゲスト出演した、スーパーボウルのマドンナのパフォーマンスでは、同じくゲスト出演したラッパーのM.I.A.が生放送で立てた中指が大問題になったが、今度はニッキー自身がグラミーという大舞台でちょっとした失態をやらかしてしまったようだ。
問題のニッキーのパフォーマンスは、コチラで見ることができる。
http://dai.ly/xWhdt5
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)