先月、ある4人の子供が母親を探している途中、脱水症状を起こして亡くなった。4人は飢餓状態にあったという。この報道を受けて、社会開発省はようやく事の重大さに気づき、貧困対策に乗り出した。
南アフリカの大都会ヨハネスブルグ、そこから少し離れただけで全く違った景色になる。広い大地に小さな家がぽつりぽつりと建っていて貧しい感じが見て取れるのだ。先月、ヨハネスブルグから100キロほど離れたイツォセングという小さな村で、飢えと脱水症状で子供が4人も亡くなるという出来事があった。
子供たちは9歳、7歳、6歳そして2歳、彼らは6歳と2歳の兄弟の母親を探しに歩いていた。彼らの母親は食べ物を得ようと、ボーイフレンドの働く農場へ朝から出向いていたのだ。子供らはその母親に会うため、10キロ以上も炎天下を歩き、4人とも飢えと脱水症状で倒れてしまった。
彼らは前の日の夜にポリッジ(粥)を小さなボウルで食べただけ。何としてでも食べ物を持って帰ろうとしていた母親は、のちに新聞のインタビューできちんとした食事を何週間もしていなかったことを力なく述べた。検死の結果でも子供たちは歩く前から飢餓状態であったことが判明している。
この家族をはじめ、この村に住む人々の多くは、社会福祉に頼ることができない。というのも、IDブックなどの身分を証明する書類を持っていないからだ。
11月21日、北西州の女性、子供、障害者に対する社会開発省は、今回の件でこの家族のカウンセリングを行うことを述べ、3ヶ月分の食料を与えて少しでも遺族のストレスを減らすことを発表した。また、今回の貧困による子供の死、福祉施設の怠慢そして小児に対する保護不足などを踏まえて、あらたなプロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトは、人々に貧困による社会福祉への利用とIDの重要性を知ってもらうことを目的とする。
子供たちが死亡した記事を大きく掲載したプレトリアニュースという新聞でも、チャリティを行い寄付を募った。寄付を行ったある男性は「21世紀の世の中で、こういった悲劇は非常に悲しい。」と、イツォセングの村を中心にした寄付を呼びかけている。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)