南アフリカは基本的に自然災害には強いと思われていた。地震もほとんどなく、季節的な大雨、そして海風が強い程度だった。しかし、今回南アフリカを襲ったのは強力な竜巻だったのである。
10月2日午前2時ごろ、南アフリカのフリーステイト州に竜巻が発生。タウンシップの家々はあっという間に吹き飛ばされた。ある地域では122戸の政府が提供した家やトタンなどでできた家が壊され、42人が負傷した。またフィクスバーグの地域では竜巻で家の壁が崩れ、9歳の少年が死亡した。
ヨハネスブルグ南東部にあるドゥドゥザでも、家の壁の下敷きとなって8歳の子供が死亡、166人が負傷している。また同夜、クワズール・ナタール州では雷が発生、2人が亡くなり8人が病院で治療を受けた。
気象予報士によると、春から夏にかけての竜巻は決して異常気象ではないと述べ、「竜巻は南アフリカでも年々発生しており、過去3年では毎年1回発生するようになった。」そうだ。発生したといっても、広大な南アフリカのこと、人が住んでいない場所で発生することがほとんどだった。気象予報士は「人の住んでいるエリアに竜巻が発生するときだけ警告していた」という。
南アフリカの竜巻は、強い嵐を生じさせるメソサイクロンの副産物として発生するものが多く、主に南アフリカの東半分、すなわち東ケープ州からクワズール・ナタール州、フリーステイト州で発生する。今回の竜巻はたまたま人々が住むタウンシップを直撃したものだった。
竜巻は地上から天へ吸い込まれるように吹き上げており、目撃者によると「竜巻は蛇のようだった」「アルマゲドンが来たのかと思った」など、一様に恐怖を語っている。また、ベッドから投げ出され、電気も消え、気が付くと屋根がなかったという女性もいた。住民は多目的ホールで眠れぬ夜を過ごしたが、今では「セメントも基礎工事もなっていない」と、政府の建てた家の手抜きぶりに怒りをあらわにしている人が多い。またヨハネスブルグ国際空港では、天候不順により日曜の便のうち6便が1時間遅れのフライトとなった。
吹けば飛ぶような家の多いタウンシップでは、これを機に建物整備などをするべきであろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)