出産から3日間、赤ちゃんはジップロックに入れられていた。ケープタウンの女性が妊娠たったの22週で赤ちゃんを産んだのだ。産まれた赤ちゃんは来週で生誕2ヶ月を迎える。
9月20日のニュースで、保育器で眠っている小さな小さな赤ちゃんを夫婦が見守っていた。早産といわれている時期よりもさらに早く産まれてしまった子供が成長したというのは、世界で初めてのことだという。
小学校の教師をしているシャンテル・ラテガンさん(29)は、いつものように産婦人科へ検診に行った。すると医師から、「破水しているかもしれない」と言われ緊急入院することとなった。通常の出産時期は40週前後なのだが、彼女はまだ妊娠22週に入ったところだった。22週目の赤ちゃんというのは、ようやく内臓器官ができたばかりで、さらなる発達が必要な時期でもある。
破水で羊水が減ると陣痛が自然に起こることが多い。入院3日目、陣痛が起きたシャンテルさんはすぐに分娩室へ運ばれ、7月29日、そのまま自然分娩で女の子を出産した。妊娠から22週と4日、体重はたったの515グラム、身長も15センチほどでペンの長さほどしかなかった。
赤ちゃんはまず酸素吸入器をつけたままジップロックへ入れられ3日間を過ごした。こうすることで、赤ちゃんの皮膚を乾燥から守り、体内の液体を体温と同じ状態に保つことができるのだ。通常、人間の皮膚はティッシュペーパーのような皮膜が幾層にも重なって形成されているのだが、妊娠22週の赤ちゃんはたった2層しかできていなかった。出産後は母乳を12時間おきに0.5ミリリットルあげていた。
3日間をジップロック内で過ごした後、異常がないので保育器へ移った。まもなく出生から2ヶ月が経とうとしている現在、赤ちゃんの体重は890グラムまで増加し、母乳も2時間おきに10ミリリットル飲むほど元気になっている。脳からの出血もなく、肺も発達してきているとのことで、酸素吸入も減らしている。医師によると、異常がなく体重が1キロを超えたら退院してもいいそうで、夫婦はその日が来るまで保育器から娘の様子を眺めている。
赤ちゃんの名前は『アレグラ(Allegra)』、音楽用語『アレグロ』からとったもので「快活に早いピッチで」という意味だそうだ。親の愛情をたっぷり受けてすくすく育って欲しい。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)