アフリカ発!Breaking News

writer : flynn

【アフリカ発!Breaking News】「死にそうな子は置いていく」。3か月で29,000人の子供が死亡。ソマリアの現状から目をそむけてはいけない。

国連が「ソマリアの大飢饉」を初めて公式に宣言してからおよそ2か月、事態は悪化の一途をたどっている。多くの国が援助をしているものの、食料、医療はまだまだ足りていないそうだ。

食べ物がなく、ほとんどの子供は栄養失調にかかっている。3歳の男の子はひどい栄養失調で、健康な8か月の赤ちゃんの平均体重と同じたったの8.0キロしかない。骨と皮だけのこの男の子は熱、嘔吐、下痢がひどく、板敷きの病院で寝たきりだ。母親によると、地元の薬局でもらった薬を与えたら顔から血の気が引き、容態は悪化した。母子は先週50キロもの道のりを歩いてソマリアの首都へ逃げ込んだが、母子は一銭も持っていない。子供は日に日に弱っていき、食べることもままならず、鼻からチューブを通して栄養を送っている。

同じように干ばつで生死の境をさまよっている状態の人々が、「アフリカの角」と呼ばれるソマリア、ケニアなどの場所で1200万人以上いる。

ある女性は4歳の息子の手を引き、もう一人の子供を背中に負いながらケニアに向けて2週間歩いてきた。しかし、4歳の息子が歩くことができず倒れてしまい、道中で身を切られるような決断を迫られることとなった。結局途中で息子を置き、女性は歩き続けた。ケニアの難民キャンプへたどり着いたとき、女性は息子を置いてきた心の痛みに苦しんでいた。

ソマリアから脱出する親は、非常に酷な選択をしなければならない。「水や食べ物が少ない中で、生き残る可能性が高い」子供と、「(まもなく亡くなるから)途中で置いていく」子供・・・。神に子供を預けていくんだと何度も言い聞かせながら生涯の別れをする。

病院でも毎日のように子供が亡くなっていく。布で包まれた小さい亡骸は、近くに掘られた穴の中に横たえられる。涙を流す気力もない家族が、無表情で子供の最期を見送る様は、まさにこの世の絶望を表している。

医師は最小限の物資で最大限の治療を行っている。1992年にもソマリアは飢饉に苦しんでいたが、現在はそれをさらに悪化させた状態だとある医師は言う。干ばつがひどい地方からソマリアの首都モガディシュに逃げ込んでくる人々が日に日に増えているので、支援物資は足りなくなる一方。地方から全てを捨ててモガディシュへきた男性は「穀物も育たず、家畜も死んだ。地方には支援物資も援助も何もこないので、逃げ出さなければ死んでいる。」と、述べている。

干ばつから人々が逃れてくるモガディシュという都市は、助けを求める彼らを癒すことなどない。モガディシュは世界で最も危険な都市のひとつで、アルカイダ系のイスラム過激組織シャバブが都市の半分以上を支配しているといわれている。シャバブは政府援助のアフリカ連合軍と激しい戦闘をしているが、先週首都から撤退している。政府は、シャバブが撤退したものの、爆弾などが仕掛けられている可能性も高いので警戒するよう呼びかけている。

干ばつで人々が苦しんでいることに加えて、国の情勢が不安定で周りを警戒しなければならない。国は、武器や弾薬にお金をかけている場合ではないということに気づいてもらいたい。アメリカの調査によると、過去3か月で5歳以下の子供2万9000人以上が死亡している。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)