南アフリカのリンポポ州に、日本に招待された動物がいる。南アフリカに生息するイボイノシシ(warthog)だ。薄毛のイノシシのような動物が、なぜ日本にまで呼ばれるようになったのか?
イボイノシシの名前はオーグ(Org)、現在2歳。生まれてすぐに道で倒れていたところを地元の獣医が発見し、その後エリカ・テンペイさん(50)夫妻に引き取られて育てられた。テンペイさん夫妻はボツワナ国境近くに私設動物保護区を経営しており、以前から孤児となった動物を面倒見ていたこともあり、オーグが生息するには最適の場所ともいえる。
オーグの一日は、生後8ヶ月からずっと続けている朝の散歩から始まる。朝6時からテンペイさんと川べりを歩き、昼は野生のイボイノシシとともに過ごし、夜はドッグフードを食べ、マシュマロをデザートとして食し、ソファで寝るというイボイノシシとしては優雅な暮らしをしていた。
ところが今年の6月、オーグは一時行方不明となる。テンペイさんはオーグは野生に戻ったのだと思っていたが、なんと彼はガールフレンドを連れて帰ってきた。芝生の上で尻尾をピンと立てて誇らしげにしているオーグだったがそれもたった2週間続いただけで、ガールフレンドは野生に戻り、オーグは再び元の生活に戻ってきたそうだ。
オーグは今ではすくすく育ちすぎて、3人がけのソファを一頭で占領するほどの大きさ。「(オーグの)機嫌のいいときは、愛犬とマングース4匹がオーグの上で寝るときもある」そうだ。
そんなオーグが、突如日本に知られることとなる。
テンペイ夫妻が立ち上げている地域社会貢献プロジェクト「Hassah(「価値あるもの」という意味)」という、ビーズ作品を作る女性グループの1人がオーグの写真を撮って、ある日本人グループに送ったそうだ。「軽い冗談のつもりでオーグの髪の毛にビーズのついたリボンをつけて写真を撮り、提携している日本の会社の人にメールした」のだが、その日本人がコンタクトをしてきた。なんと日本の動物園にいるイボイノシシたちに会わせるために、日本への旅を計画するというのだ。
実行されるか否かは別として、この旅行が実現したら、オーグは世界を股に掛ける最も贅沢なイボイノシシとなることだろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)