5月18日には南アフリカの総選挙が行われる。この日のためにそれぞれの政党が地方へ出回っている。『公約を守らない』と信頼ががた落ちのANC(アフリカ民族会議)が名誉挽回と、タウンシップに動きを見せた。票獲得目的が見え見えのこの行いが果たして吉とでるか?
5月11日頃からハウテン州にあるタウンシップは騒がしくなった。何台ものトイレを積んだトラックが入ってきたからだ。住民たちの中にはトイレの到着を喜ぶ者もいれば、選挙のための陽動作戦といぶかしんでいる者もいる。
ちなみに南アフリカでは選挙とトイレは深い因縁がある。2007年に与党ANCがタウンシップに共同水洗トイレを設置すると宣言。話し合いの結果、政府が水洗トイレと下水道を設置し、住民サイドがトイレを囲む壁をつくることで合意した。しかし、なかなかトイレを設置しない政府に怒りを募らせた住民が抗議デモを起こし、2010年1月にようやくトイレが設置された。しかし壁を設置できない住民側との衝突で、むき出しのトイレや破壊されるトイレがタウンシップに転がっていた。
今回の選挙の票獲得に動き出したANCは、ハウテン州のタウンシップに共同水洗トイレを運び入れた。今回は工事現場などで見かけるような簡易トイレのようなボックスもついており、費用は500万ランド(約6000万円)。洪水のたびに汚水があふれ出て衛生的に問題があったり、ぼっとん便所に子供が落ちて死亡、壁もないトイレで用を足していて襲われるなどということもなくなるだろうと住民はそれなりによろこんでいる。
一方、18日の選挙が終了したらこの作業も途中であろうと放り出されるだろうと、票獲得作戦むき出しの行為にあきれている住民もいる。
選挙があるたびにトイレが増えて、選挙が終わると何もしなくなる・・・これが続くなら10年後にはある程度の水洗設備となるだろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)