残虐に子供を殺害した母親は、5月3日、18年の刑期を言い渡された。すべての自分の不運を子供のせいにし、しかも呪術師の犯行に見せかけるという行為は母親とは思えない非道さだ。
南アフリカのハウテン州テンビサと呼ばれるエリアで、2008年11月、母親が5歳の息子を虐殺する事件があった。母親は現在27歳、まだ小さい子供が2人いる。
2008年11月、母親は息子を責め続けた。自分が今ある不幸は全てこの息子のせいなのだという。息子の父親が有名な犯罪者であったことから家族に見放され、経済的援助も得られない。その後、2人の娘をもうけた男性とは、息子の存在を理由に結婚を拒否した。将来、息子が父親のように罪を犯すのではないかとの恐れもあったそうだ。
この被害妄想が、息子を殺害する動機となった。まず彼女は息子を『ネボ(Nebo)』という場所にある廃屋へ連れて行きブランケットでぐるぐる巻きにして放置し窒息させ、さらに何度もナイフで刺した後、耳や腸を切断し、まるで「体の一部が呪術に必要な人」の犯行に見せかけた。検死の結果、少年の直接の死因は窒息死。胸と腹部を刺され腸は飛び出していた。左耳とペニスの切断は死後行われたものだという。
殺害後、母親は息子が週末に曾祖母に会いに行く途中で襲われたと見せかけるために、教会に行くときの服をかばんに詰め込んだ。また自宅から息子を刺すナイフを持ってきていたことなどからも、犯行は計画的だったと思われている。
判事は「たった5歳の無垢な少年を殺害する母親がいることに驚きを隠せない。おそらく少年は母親に殺されることも、なぜ殺害されたのかもわからないまま無抵抗で殺された。」と、母親の残忍さに憤っていた。
母親は刑期を言い渡された後も、「自分の行いを許すことができない、死にたい。」と漏らしていることから、重度のうつ症状がみられるとの精神科の意見もある。
一方、殺害された少年の祖母は、少年を避けた覚えもないし常に愛情を注いでいたと、母親の供述と違うことを述べている。残虐な犯行にもかかわらず懲役がたった18年というのも、初犯であったことと母親の愛情が必要な娘がいるということなどが考慮されたようだ。
将来子供が罪を犯すかもしれないと恐れている母親が、大罪を犯した。残された2人の娘は「犯罪者の娘」として生きていくことをこの母親は気づいていたのだろうか?
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)