4月13日にニュースで流れた映像は衝撃的だった。デモに参加していた一人の男性が警察に殴る蹴るの暴行を受け、挙句にはゴム弾で撃たれて死亡したのだ。しかも噂では実弾だったとも言われている。
亡くなった男性はフリーステイト州に住むアンドリーズ・タタネさん(33)。教師であり活動家でもあった。『I Can Learn』というプログラムを設立して、学生の家で数学や科学を教えるなどしていた。また、家では2児の父親として家族を愛していたという。
タタネさんは4月13日、フィックスバーグ(Ficksburg)というタウンシップ郊外で「貧困撲滅」を掲げたデモに参加していた。そこへ警察が鎮圧用の高圧放水砲を道端に座っていた高齢のカップルに向けて噴射、それに抗議すべく警察官らの方へ歩いて行ったタタネさんはいきなり殴りつけられた。警察官は6名、棍棒のようなもので殴りつけたあと、立ち上がったタタネさんは自分の胸の真ん中辺りから血が流れているのを見て驚いている映像がある。救急車を待っている約20分間は立って歩いていたタタネさんだったが、突然倒れ、救急車が到着したときには既に死亡していた。
4月18日の発表によると、タタネさんの検死は終了しており、死因はやはりゴム弾を撃たれたことによる失血死とのこと。詳細は公表しておらず、実際撃たれたのは実弾だったのではないかとのメディアの質問にも「現段階では公表せず」としている。月曜日のある新聞では、タタネさんの体から、ゴム弾が2発摘出されたと報道している。
タタネさんを死に至らせた警察官6名は「暴行致死」の容疑で起訴された。裁判所の外には多くの人々が集まり、警察官の無謀な行為を責めて歌い踊っていた。
タウンシップの貧困層が住むエリアでは、不当な扱いを常に受けていると思う傾向が強い。エジプトのように第2の『ジャスミン革命』とならないことを願う。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)