2007年ケープタウンの中心地にあるショッピングセンター「V&A Waterfront」で、ドイツ人カップルが車を盗み逮捕された。彼らは車を盗むことは単なる”挑戦”だったという。
このドイツ人カップルはケープタウンのヒゴベルという高級住宅エリアに住んでおり、一見車を盗まなければならないほどお金に困っているとは思えない状況。カップルはウォーターフロントの地下駐車場にあった、鍵を置き忘れたままのルノー・クリオを盗み出した。裁判所での証言によると、男が女に対して車を盗むよう挑発したそうで、単なる「出来心」であったことを主張した。どうやらその車を盗むことで男への愛を示すこととなり、結婚の約束も承諾する予定だった。
この「愛の証への挑戦」の様子は監視カメラにばっちり映っており、窃盗5日後、彼らの自宅から車を発見されたことで逮捕となった。発見時、車は防水シートで隠され、ナンバープレートは取り外されていた。
それから3年後の12月3日に行われた裁判で、カップルの弁護士の主張は「盗んだ車を置いておくつもりはなかったが、パニックになってどうしていいかわからなかった。カップルは事件を起こすまで普通の生活をしており、刑罰で社会から隔離する必要はない。」とのこと。さらにとばっちりは車を盗まれた女性にまで及び、「車内に鍵を置き忘れていったために、窃盗させる機会を与えてしまった」と弁護する始末。
一方、判事は「出来心にしては車を返却しないのはおかしい。単なる挑戦として車を盗むのならば、(逮捕までの)5日間も家でのんびりしているはずはない。」とし、一見泥棒には見えない2人だがこれは計画的な窃盗であることを主張している。
有罪となった場合、カップルは規定の懲役3年の6分の1である『懲役6ヶ月』となる。
裁判長は「高級住宅街に住み、見た目犯罪者に見えないという理由で軽減を求めるのは間違っている。」と公平な判決を言い渡す予定だ。
2007年の窃盗裁判が2010年12月までかかるのもおかしいのではないだろうか。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)