野生動物というのは弱肉強食の世界といわれているが、タンザニアのセレンゲティという場所でカバが動物たちの赤ちゃんを助ける瞬間を撮影した映像がYouTubeで紹介されている。
このビデオは『グルメティ・エクスペディション・ツアー(the Grumeti Expeditions tour operating company)』会社のマネージャーであるトム・ユールさんが10月に撮影したもの。ユールさんは現在タンザニアに住んでいる南アフリカ人で、その日もツアー客と共にレマーラセレンゲティ北部にテントを設営し、マラ川を渡るヌーとシマウマの群れを見ていた。
10月という時期は、ヌーとシマウマがケニアのマサイ・マラから南下してセレンゲティ南部の短草平原へと移動するシーズン。しかし、この移動の最難関がマラ川。特にこの時期は今年は雨量が多かったため川の流れが非常に速かったそうだ。
ユールさんたちが見ている中、ヌーは次々と川へ飛び込んでいくが、一匹の小さいヌーが川の流れに巻き込まれてしまった。そこへ様子を見ていたカバが後ろから近づき、ヌーのお尻を鼻先でつつきながらサポート、無事対岸へ辿り着くまで見届けるという行動をとった。ヌーは仲間のいる場所まで走っていった。
5分もしないうちに次はシマウマの群れがやってきて川へ飛び込み始めた。シマウマの赤ちゃんが流れにのまれていると、再びカバが現れ、ヌーの時と同様に後ろからサポートしながら対岸へと押し進めていった。対岸まであと少しというところにある小さい岩場にシマウマが辿り着いたが、すでに体力を大分消耗している様子で小さい川の流れでも力尽きそうな状態。しかし、カバは口を開けてシマウマのお尻に軽くかぶりついた。ユールさん曰くその姿は「後もうちょっとだから諦めずにガンバレよ! ホップ・ステップ・ジャンプで対岸だぜ!」と言っているようだったそうだ。
『助け合う』という本能が働いているのだろうか、こういった野生動物の神秘は素晴らしい。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)