22歳の娘が行方不明になって1年以上が経っていた。母親は娘の行方を捜すためにすでに50体以上の遺体を見てきたという。そんな母親の切なる願いとは裏腹に警察はまったく動こうとしていない。
1年前、フラバングワネさん(55)が娘(22)と最後に会話したのは「友人宅へ出かけるから2~3時間留守にする」といったもの。その後フラバングワネさんが自宅へ戻ると、3ヶ月になる孫がベッドで泣いていたが、娘の姿は見当たらなかった。
フラバングワネさんは最初近所の人に娘を見なかったか尋ねたが、誰も見ていないという。2日後、警察へ届け出たが、警察は調べはするが事件として扱わなかった。結局、自力で捜すことを決意し、孫を背負いながら出会う人全てに娘の行方を尋ねた。絶望と希望の狭間でフラバングワネさんが向かったのは政府の遺体安置所。最初のきっかけは2人の少女が焼死体で見つかったというラジオのニュース。「それ以来、遺体安置所の常連になったわ」と語る彼女はすでに50体以上の遺体を見ている。娘ではないとわかった瞬間はいつも安心のため息をついているそうだ。
彼女は高血圧なので、遺体を見るたびに積み重なるストレスは並大抵のものではない。何もしてくれない町の警察をあきらめ、昨年12月に都市の警察署へも行方不明の届けを出した。
しかし、ここである男性からの電話がかかってきた。男性によると、フラバングワネさんの娘と思われる女性が病院にいるとのことだが、男性はどこの病院かまでは言ってくれなかった。不審に思いながらも警察へ連絡したが、警察は何もしてくれなかった。
新聞社が警察へ問い合わせると、『この件は行方不明事務所で調査されている』そうで、フラバングワネさんの娘の事件を担当している警察官は問い合わせ時は外出中だったそうだ。
フラバングワネさんは、「娘が死んでいるなら、せめて遺体を埋めてやりたい。生きているなら会いたい。」という切実な願いを捨てきれないでいる。この母親の気持ちを全く理解しようとしない警察に激しい憤りを覚えるのは記者だけではないはずだ。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)