南アフリカのあるエリアで未だに残っている風習の「割礼」。しかし割礼後に感染症などで死亡する少年が後を絶たないことから、割礼は病院でするべきだという動きが出てきている。
この割礼という儀式は単なる手術ではなく、成年になるための儀式と考えられている。ある年齢に達した少年たちを森の中へ連れて行き、成人男性としてのサバイバル知識を身につけるというのが一般的。その中で行われる風習として割礼がある。割礼を行うのは森の中で、割礼術者が12歳以下の少年の陰茎包皮を環状に切り取る手術を行う。
ところが、割礼術者が違法であったり、割礼を行う場所が衛生的に悪い、術後の患部を消毒しないといったことが原因で、感染症を起こして死亡するケースが多発していることがわかった。少年の親は感染症で病院へ連れていくことが「不名誉」と思っていることも、死に至る原因となっている。
東ケープ州だけでも割礼による死者は2008年1月から2009年12月までの2年間で144名、今年の5、6月だけでも11名の少年が割礼によって死亡している。現在でも45名の少年が病院で治療を受けている。ある少年は性器を半分切除しなければならないほど悪化していた。
見かねた東ケープ州保健省は、割礼の儀式を訪れ、衛生面、術者の能力などをチェックしている。現在110の割礼儀式を行うグループのうち、50を不法として儀式を中止した。割礼術者も5名逮捕されている。
月曜日、南アフリカの政党DAは「割礼は有能な医師のもと、病院で行うべきだ。」と主張している。
昔は割礼で死亡するのは成人になるのに不十分だからだと思われていたが、不衛生な場所で子供を死なせる『成人として不十分な術者』が原因だと判明している。風習を守るのも大事だが、子供の将来のためにも出来るだけ医学を頼ってもらいたい。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)