今年の3月以降、ナイジェリアで鉛中毒で死亡する人々が急増していたが、ここ数週間で子供が160人以上も中毒死していたことがわかった。この数字はさらに増加する見込みだ。
治療を受けている子供の中には、目玉が飛び出すほど大きく見開いて横たわっている姿もある。鉛中毒の原因は、金鉱を見つけるために掘っている場所から出た高濃度の鉛によるもの。この鉛がホコリに混ざったり、水の中に溶け込んだりし、知らないうちに体内に摂取されてしまったのだ。
現在判明しているのは、被害者がナイジェリアのZamfara北部にある人里はなれた6つの村に住む人々ということ。国境なき医師団緊急対応チームのリーダーは「鉛で汚染されている村は6村だけではないと思われ、今後緊急でさらなる調査を行う必要がある。」と述べている。
この金採掘者は村に住む人々。そして、金の採掘は違法で行われていた。おそらく被害者を出してしまったこの行為を人々は責めるのかもしれない。しかし、国境なき医師団リーダーは、誰も責めることは出来ないという。「この村々のように、過疎化し貧しい状況で家族を支えていくためには仕方のない行為なのかもしれない。収入を必死で探そうとしていたこの村の人々を外部の人間が責めることは出来ない。」
また、Zamfaraに住む人々も、自分の子供が中毒死してしまったとしても金を探して掘り続けると言っている。
ある方面では、政府を責めるべきだという声もある。金を発見すると中国との鉱業契約が成立し、莫大な利益が得られると考えている政府は、今回の違法採掘に目をつぶっているそうだ。
貧しい人々が追い詰められて出した答えが、最終的に村を救えるのならいいが、被害者はいつでも子供であることを忘れないで欲しい。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)