20年前、タンザニアで乱獲により絶滅の危機に瀕していた黒サイが南アフリカに避難してきた。20年経った今、サイの頭数も増加したので故郷のタンザニアにあるセレンゲティ・パークへ帰っていった。
このサイは「the eastern Diceros Bicornis Michaeli」と呼ばれる種類のサイで、南アフリカには存在していないサイだった。
南アフリカナショナルパーク(SANParks) によって当初、サイはアド・エレファント・パークに輸送、南アフリカにいる類似種のサイと共に暮らすこととなった。そこで25頭になったタンザニアのサイは、リンポポ州にある観光用の私営自然保護区に購入され、61頭にまで増えた。
2009年になり、タンザニアの野生動物保護機関から「同種のサイがタンザニアで絶滅の危機を迎えているのでサイを返還してもらえないか」という打診があった。南アフリカナショナルパークはこれに同意、動物の輸送に適した気候になるまで待つこととなった。
そして先週、5頭のサイが空輸された。32頭のサイの輸送も後日行われることとなっている。南アフリカの環境事業大臣は、今回のサイの返還は保護活動としては素晴らしい結果となったと述べている。「理想としては全てのサイを東アフリカに戻すべきだが、異常繁殖したバッファローなどがサイを狙うこと、そしてサイを乱獲する人間のことを考え、数等のサイをしばらく南アフリカに保護しておくことにした。将来的には残りのサイも東アフリカへ戻すことが出来ればよい。」
サイは危険を感じると攻撃的だが、普段は穏やかな性格。返還されたサイには野生動物として当たり前の生活を送ってほしい。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)