昨年8月にヨハネスブルグ市内に導入された「高速バス(BRT:bus rapid transit )」。バス専用道路を走るので交通渋滞に巻き込まれないため、確実に通勤客を集めており、ケープタウンでも現在バス専用道路やバス停を造っている。しかし、今月に入って2台が襲撃された。ワールドカップも近づく中、警察は実に地道な対策をとった。
5月1日に2台のBRTバスが南アフリカ最大のタウンシップ「ソウェト」で襲われた。どちらも銃を持った数人の男性が襲撃し、1台目は4人が負傷し1人が重体、2台目は運転手と4人の乗客が負傷している。警察は2台のバス襲撃は同一グループの犯行ではないとみている。
このBRTバスはソウェトとヨハネスブルグ中心部を繋いでいる。今までソウェトから通勤する人たちはミニバスタクシーという、好きなところで乗り降りでき、さらに値段が安いという、アパルトヘイト時代に黒人が考え出した乗り物を利用してきた。しかし、BRTバスはミニバスタクシーよりも早く目的地に到着し、さらに安全で安い料金を提示し、ミニバスタクシーに対抗している。今回の襲撃はミニバスタクシー関係者によるものという見方もある。
ワールドカップ開催中は多くの人がBRTバスを利用すると見込んでいる政府。BRTバスをなんとしても安全なものとして売り出すために、BRTバス1台につきパトカー1台をつけるという完全防備対策を取った。BRTバスの走る後ろには常にパトカーが見守っているのだ。
電車もミニバスタクシーも自動車も自転車も徒歩も危ないと言われている南アフリカ。今回のBRTバスが安全な乗り物となってくれることを願う。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)