100万人に1人という確率で心臓が肋骨の外側に飛び出ていた赤ちゃん”アシュレィ”が、3月5日金曜日の朝に亡くなった。彼女が息を引き取った場所は、最初で最後となった母親の腕の中だった。
「アシュレィを腕の中に抱くことが私の望みだった。すごく居心地がよかったみたいで眠るように亡くなった。」と母親は涙を流しながら語った。腕の中でアシュレィは泣いていたが、母親が話しかけながら、あやすとおとなしくなり、その後死亡が確認された。
アシュレィが生まれたのは今年の1月9日。生後1週間経った同月17日に心臓を本来あるべき位置に戻す手術をした。手術は無事成功し、体調は順調に回復していたが、先週に入ってから悪化し、さらに肺炎にかかってしまった。「アシュレィは全体的に腫れていたが、私たちは希望を捨てなかった。でもアシュレィがこれ以上(病気と)闘えないというサインを送ってきたので、今後すべき全ての治療を拒否し、痛みから解放させてあげた。」両親は保育器の中で眠るアシュレィの手をさすり、話しかけることしかできなかった。
体調がよかった頃のアシュレィは手足を動かし、目を大きく開けて遊んでほしいというサインを送ってきた。人工呼吸器も外し酸素マスクのみ装着し、ミルクの量も増えてきていたという。両親が手を触ったり話しかけると、うれしそうな表情を見せていたそうだ。
体調が悪化してからアシュレィが亡くなるまでは、連日のようにニュースで報道され、全国民がアシュレィの回復を願っていた。
3ヶ月もの間病気と闘ったアシュレィが最期の場所に選んだのは母親の腕の中。安らかな死だったことが唯一の救いだったのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)