ケープタウンの高級住宅街といえば、ワイナリーもある「コンスタンチア」。しかしここ数年、強盗だけでなく路上でもギャングが横行しており、高級住宅街の住民は恐怖におびえていた。しかし、最新セキュリティを導入したワイナリーに入り込んだことで、運は尽きたようだ。
ギャングは全部で5人。兄弟やいとこたちで結成されているこのギャンググループは、ここ4年あまりで高級住宅街の路上強盗などを行ってきた、計画的犯行を得意とする悪質なギャングとして住民に恐怖を与えていた。
今回の現場となったワイナリーのオーナーはピエール氏。彼が導入したのは「見えないセキュリティガード」というもの。オペレーターが遠隔操作でゲートを開閉、照明スポットを当てたり、マイクで話したり、侵入者にはコショウスプレーまでかけることが可能だという。セキュリティが襲われやすいので、このような遠隔での操作は、セキュリティとして働く従業員の生命の危険が少ない分安全だ。
5人のギャングは銃やピストルに防弾チョッキと完全武装で家宅侵入を目論んでいた。彼らの乗った車がワイナリーに入っていったのを「見えないセキュリティガード」のモニターが捉え、オペレーターが警察とセキュリティ会社に通報した。ギャングはモニターカメラのひとつを壊し、ワイナリーのゲストルームへと車を進めていった。ゲストハウスには、オーナーであるピエール氏の子供(10歳)が家庭教師とともに熟睡中だったが、ギャングが侵入、二人を縛りあげ部屋を物色し始めた。その間にセキュリティ会社が現場に到着、それを見たギャングは車に飛び乗り、銃を乱射しながら逃走しようとした。
その頃には警察も到着し、ギャングとの銃撃戦が始まった。しかし、ギャングはすべてが終わるまでに3分もかからなかった。ギャングの1人は警察との銃撃で首と顔を撃たれ翌日に死亡、3人は負傷しながらも逮捕、後の1人はいまだ逃走中だ。
最近の強盗は、不景気のせいか、人の命を犠牲にすることに対して抵抗を感じないことが多い。また、現行犯でないとなかなか逮捕できないというのも現実。それゆえに、強盗に狙われやすい高級住宅街に住む人々は、セキュリティの強化に余念がない。今回の速やかな逮捕劇でコンスタンチアの住民は安堵している。また、最新のセキュリティが家族の命を守ってくれたと、ピエール氏は「見えないセキュリティガード」に感謝感激のようだ。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)