今回の【ドラマの女王】は滝沢秀明主演『オルトロスの犬』(TBS系)中盤編。涼しい顔したタッキーと錦戸亮のイケメン二人でどこまもで勝負するのかと思いきや、最近日本映画にありがちなアニメを挿入したり、30分ドラマ2話に見せかけたり、平原綾香に「Jupiter」(ジュピター)歌ってもらったりと、いろいろと試行錯誤。ストーリーもそんなにマズくないんだから、普通に勝負すれば?
最初、タッキーの触れるだけで“他人の体の傷を癒す不思議な能力”とやらが、キムタク映画の『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』そっくりに見えたのだが、数回見ていくうちにそれなりに展開し、思ったほどパクッてなかったことが分かる。グロくも無ければ、トライ・アン・ユン監督のようにねちっこい演出もナシ。
相変わらず美しい「神の手を持つ“悪魔”」の竜崎臣司(滝沢秀明)タッキー。冤罪だった事になり、厚生大臣・榊(高畑淳子)の力を得て、街でフラフラしている。愛娘・澪(熊田聖亜)の病を治してやろうという竜崎に、必死の抵抗を見せる渚(水川あさみ)。しかし、恋人・正人(忍成修吾)の裏切りで竜崎は澪親子に近づいてくる。
なにかとウロチョロするワル・熊切勝(八乙女光)の父で、竜崎の世話を焼く榊のパトロン柴俊夫。さっきまでテレ朝系の『コールセンターの恋人』にも出ていた。この人の短時間に2度見は暑苦しい。高畑淳子の役が南極アイスの名取裕子ならカンペキだったのに・・・・。
前半30分で、主題歌とタイトルコールが流れ「ああ、もう終わったんだ。」と思いフロの用意なぞしていると、CM明けで佐々木蔵之介の爬虫類顔が・・・・。10時半をさす時計を見て今始まったんだと分かる。まぎらわしいこの演出は失敗。「この手のドラマは30分ぐらいが調度いいよ!」って言っているようなもので、みんなチャンネル変えちゃうよ。ドラマ中盤の提供バックで“今日の放送を”しつこく流すのも「来週の予告」みたいで変だし、見ると結末分かっちゃう。
この後、「今日の予告」の通りに、病に冒され余命わずかな歌手・レイ(平原綾香)が登場し、病院でコンサート。平原綾香の歌はやっぱりいい。レイの人気を利用しようとした榊に言われて病を治しに来た竜崎から「私、歌いたいの!」と、マイクを手渡しされる平原、迫真の演技に挑戦。この人も涼しい顔してなにかと器用だ。
今回は碧井(錦戸亮)の出番少ない分、唯一のオカルト的要素、竜崎の育った「龍谷村」に関する話に時間をさく。村の過去を怖くもカワイクも無いアニメにて紹介。これは、『下妻物語』や、『鈍獣(どんじゅう)』など、最近一部のわりと“カネのある”日本映画でよく用いられる手法。映画だと違和感なく見れるのだが、ドラマでの深刻なシーンで唐突にアニメが出てくるとえらく興ざめ。制作スタッフはノリノリなのかもしれないが、実写でやればいいのに。
ストーリー展開も速く、タッキーはじめ出演者の演技もそこそこ。話だって面白いのに、なぜか下手な小細工で勝負しようとする『オルトロスの犬』。これだけ複雑に広がってしまったエピソードを後半でどうやってまとめるのか分からないが、とにかく興ざめする30分区切りや、アニメはいらない(歌ゲストはOK)。タッキー、錦戸、八乙女、(一応、忍成と佐々木も)“美男”たちの出番が減ってしまうではないか!
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)