先週の木曜日、エリザベス・ネムベは娘の学校カバンと身代金要求の紙を渡された。次の日、娘の制服が送られてきた。そして土曜日、娘は茂みの中で見つかった。たった500ランド(およそ6000円)の身代金と引き換えに娘を失った。
木曜日午前11時、エリザベスの働いている店に男がやって来て、娘の学校カバンを運んできた。男は「娘を無事に返して欲しければ身代金500ランドを払え」という文章と銀行の口座番号の書いた紙も渡した。「叫ぶことしかできなかった・・・」とエリザベスは語る。警察に連絡した後、その夜は警察署で一夜を過ごした。
金曜日、犯人からの電話でエリザベスの家族が住むケープタウンのカエリチャに娘の服を取りに行くよう指示があった。彼女は泣きながら娘の居場所を聞いたが、犯人は侮蔑のこもった言葉を浴びせるだけで500ランドの要求をするだけだった。
そして土曜日。犯人は娘を殺したと電話で伝えてきた。その後、警察は土曜日の午後5時ごろに容疑者を発見、子供の居場所を聞き出し、遺体を発見した。
逮捕された男は24歳で、エリザベスも娘も知っている男だったという。知っている男だっただけに、なぜお金を貸してくれるようただ普通に尋ねなかったのかと、エリザベスは悲しみにくれている。
たかが500ランドとはいえ、貧困層の500ランドは1ヶ月の給料にも値する家庭が多い。それだけに、払えそうで払えない500ランドという値段で子供を失うのはやりきれないだろう。
南アフリカでは今週から3週間のスクールホリデイに入っている。警察は親に対し、ホリデイ期間中は充分気をつけるよう、また例え知り合いでも信用しないよう子供に言い聞かせるよう喚起している。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)