金鉱から運び出されたのは金ではなく61体の違法鉱山労働者の遺体だった。5月半ばに違法労働者たちが起こした火災が今頃になって彼らの首を絞めたようだ。
現場は、ヨハネスブルグ南部にあるウェルコム(Welkom)というエリアにある鉱山。世界でも5番目に大きい金産出会社「ハーモニー・ゴールド(Harmony Gold)」が所有している鉱山だ。
労働者たちからの情報によると、違法労働者たちは古く、取りやめになった鉱山の一角を掘っていたという。5月18日に突然どこからか発火したが、労働者たちはそのエリアに土をかぶせて封印した後さらに掘り続けていた。しかし火は完全に消えていなかったようで、その煙によって死亡したらしい。
会社がこの事態を知ったのは月曜日。労働者から「死体を入れる袋を大量に欲しい」という要望によって発覚したという。
しばらくの間、危険ということで鉱山内には入れなかった。月曜日に鉱山内に入って死体を発見、火曜日の時点で計61名の遺体が運び出された。
違法鉱山労働者は、鉱山業では黙認されている。そのため、様々な事故が過去に起こっている。もっとも悲惨だったのが1999年のエランドという地域で起こった鉱山事故。この時は2週間で290名以上の違法鉱山労働者の遺体が運び出された。また今年3月にも違う金鉱だが20名の違法労働者が亡くなっている。
鉱山内で発掘取りやめになって放置されているエリアというのは非常に危険で、そこで働かせるということは会社としてはありえない。違法労働者たちはその知識がなく、時々そのエリアへ行っては掘っていたのではないかという見方が多い。
火災を起こしたと思われる違法労働者たちは告訴されることとなる。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)