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writer : tinsight-suzukoellis

【海外発!Breaking News】統合失調症の黒人受刑者を虐待死させた看守、白人検事が不起訴処分に(米)

約5年の月日をかけて捜査が行われていた事件であったが、このほど全ての取り調べを終えたとしてフロリダ州検事は101ページにもわたる報告書を公表した。しかしその内容は、被害者家族にとって全く納得できないものであった。

米フロリダ州マイアミ・デイド郡で2012年6月23日、コカイン所持で逮捕され2年の有罪判決を受けていたダレン・レイニー(50歳)は、デイドの矯正施設に収容されていた。受刑者らの証言によると、そこで4人の看守に2時間にもわたり80℃以上のシャワーを浴びせられるという虐待行為を受け、全身火傷で死亡した。

統合失調症を患っていたレイニーは、シャワー室に閉じ込められ熱い水をかけられながら「出してくれ! もうしない、悪かった」とドアを蹴りながら何度も叫んでいたという。これに看守らは笑いながら「熱さはちょうどいいか」という言葉を投げかけていたそうだ。

看守がシャワーを止めた時、レイニーはすでに死亡しており、その後看護師が確認した際には90%の火傷を負っていたという。『Miami Herald』に看護師は「触ると皮膚が剥け落ちた」と述べているが、この虐待を目撃していた別の受刑者も「茹で上がったロブスターのようだった」と語っている。さらに「看守を怒らせたりした時にはシャワー室での懲罰はよくあることだ」という証言からも、レイニーに対して4人の看守による凄惨な虐待があったことは明らかであった。

ところが3月17日に、それらの事実を覆す発表がマイアミ・デイド地区担当のキャサリン・フェルナンデス=ランドル州検事によってなされた。今回の件で、捜査を主導していたランドル州検事は「レイニーは粗相をし、自分の排泄物を壁やシーツに塗りつけたために看守がシャワー室へ連れて行き、適切な対応をした」と報告書で述べている。また、検死官の死亡報告書に「火傷ではなく、胸部圧迫による心肺蘇生時に生じた圧力や、シャワー室からレイニーを出した時の摩擦などで皮膚が赤くなっていた」と火傷の傷が全く記されていなかったことから「シャワー自体は危険ではなかった。レイニーの死亡は看守による行為が原因だと示す証拠はない」として「死因は統合失調症のレイニーが狭いシャワー室に閉じ込められたことにより心臓発作を起こしたもの」と断定した。

レイニーの死亡を確認した看護師や複数の証言に関してランドル州検事は「信ぴょう性に欠ける。証拠不十分」と断言し、そのうえで「看守は“Murder(謀殺・殺意のある殺人)”も“Manslaughter(殺意のない殺人)”も起こしていない」と結論付け、最終的に看守4人は不起訴処分となった。

レイニーの家族は遺体を早く火葬するように圧力をかけられたこともあり、隠蔽されたかもしれない事実に対して永遠に証拠を追求する手段を奪われてしまった。弁護士のミルトン・グライムズ氏は「今回の発表にはとても失望している」と述べ、レイニーやその家族にとっても正しい裁きではないことを訴えている。

このニュースを知った人々は「明らかに殺人じゃないか」「不起訴になるなんて最悪」「白人の悪魔たちだ」「白人権力ですべて証拠を隠蔽しているよね」「レイニーが黒人で彼らが白人だからこんな処分なんだよ」「これが現実だ」「アメリカではこういう風に社会は回っているわけよね」といった声があがっており、アメリカ社会での黒人差別がまだまだ根付いていることを実感せずにはいられない。

出典:http://www.miaminewtimes.com
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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