小室哲哉が最盛期だった1990年代に、注目して「嫉妬」すら感じた楽曲を『水曜歌謡祭』で語った。中でも当時、センセーショナルにデビューした宇多田ヒカルは「僕を終わらせた」というほど衝撃的だったようだ。
ミュージシャンで音楽プロデューサーでもある小室哲哉が、4月22日放送の『水曜歌謡祭』(フジテレビ系)で“1990年代に「ああ…やられた…」と嫉妬した楽曲”を5曲選び、当時の思い出を語った。
自身も参加するTM NETWORKが、1987年に出した『Get Wild』のヒットで人気バンドとなった。その後、1990年代に入るとTRF、安室奈美恵、華原朋美、篠原涼子などをプロデュースしてヒット曲を連発。一連のアーティストが“小室ファミリー”と呼ばれる。
そんな時代に小室哲哉にとってライバルであり、支えにもなったのがMr.Childrenだった。小室は彼らが1994年に出した『Tomorrow never knows』を選んだ。「“ミスチルに負けないように頑張らなきゃ”と背中を押されてきた」という小室だが、この曲を聴いた時には“敵ながらアッパレ”と負けを認めて自身も熱心に研究したそうだ。
全盛を極めた小室哲哉だったが、宇多田ヒカルが『Automatic』でデビューした1998年には自ら小室ブームの終わりを予感している。彼女の歌を聴いて「すごい難しいグルーブ感で…“ヒカルちゃんが僕を終わらせた”っていう感じ」と明かすと、その楽曲とパフォーマンスから次世代を感じ「僕、ここで一度休もう」と決意したことを証言した。
また、同じ1998年にEvery Little Thingが出した『Time goes by』については、「globeじゃできないな」と感じたという。当時はカラオケブームで、ミディアムテンポの楽曲が人気だった。そんな背景もあり、「自分の曲は暑苦しいので、対照的なこの曲には時代が求めているものを気づかされた」のである。
他には、スピッツの『ロビンソン』(1995年)を選び、「みんなも“また小室の四つ打ち”みたいな時に、この曲がフッと来たら“あ、気持ちいいな”と思うだろうな…、僕も思いました」と振り返る。さらに、SMAPについて「ほどよい距離感の曲をいつも上手いところに置いてくる」と分析すると、『夜空ノムコウ』(1998年)を選んだ。ギター1本、ピアノ1本で歌えるフォークソングのような楽曲に人々が癒されるようになったことを感じ、「しっとりと聴かせるこの曲のヒットにも時代の移り変わりを意識した」と語った。
番組ではこの5曲を『水曜歌謡祭』ならではのアレンジとメンバーで生パフォーマンスしたが、オリジナルとは違った雰囲気で楽しめた。小室哲哉自身も鍵盤で参加しており、全体を見守るように演奏するその姿を見るとまだまだ活躍してくれそうだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)