国連とWHOは今、世界の人々を肥満と成人病から救うためにも、すべての国が手を組んでこの世から“悪玉”食品を徹底的に減らそうといった取り組みに真剣になっている。もちろんターゲットとなるのはおなじみのジャンクフードであろう。
健康によくないと、理屈では分かっていてもやめられないのがジャンクフード。たとえばスーパーマーケットで販売されるフライ用の冷凍ポテトが突然高価になり、レストランのプレートに盛りつけられたフレンチフライはほんの少し。また、スポーツ観戦や映画鑑賞でもバケツ入りのポップコーンはなし。さらにドーナツがやけに値上がりしたら、少しずつそれへの興味が失せるのであろうか。
“Global Strategy on Diet Physical Activity and Health”とタイトルを掲げ、健康な食生活の大切さを訴えて10年になる世界保健機関(WHO)。これに強く賛同してきたのが、国連で食糧問題に関わっているオリヴィエ・デシューター特別報告者(Olivier De Schutter/Special Rapporteur)である。19日、WHO総会のオープニングにおいて、「いくつかの食品は人間の体にとってたばこ以上に有害です。世界が心をひとつにしてこの問題を解決していきましょう。悪玉の食品に課税したり、条例により規制すべき時が来たと考えます」などという同氏がまとめた声明が発表された。
肥満は飽食が原因、成人病は富んだ人々のぜいたく病と言われてきたのはひと昔前の話。米国で肥満はアフリカン系あるいはヒスパニック系の低所得の人々に多く、ファストフードとスナック菓子漬けの食生活が原因と言われる。一方で富裕層はオーガニック系のヘルシーフードにこだわり、エクササイズを心がけながらスッキリ体型を保つことがプライドとなっている。成人病の発症や肥満に関してもっとも注目されるのは脂肪分。近年特にトランス脂肪酸と呼ばれるものが超悪玉とみなされており、大手スナック菓子メーカーやケンタッキーフライドチキン、マクドナルド、ミスタードーナツなどは、油におけるトランス脂肪酸の割合を低減させることを次々と発表したが、ゼロには至っていない。
健康に自信がある若い人々や何の知識もない幼い子に、いくら「こういうものばかり食べていては体に悪い」と言っても安価で好物が売られている以上、彼らはそう聞く耳など持つまい。やはり世界一律の徹底した規制と課税で手っ取り早く改善を、との結論なのであろう。だが“悪玉”と呼ばれる食品は国によってまちまちで、他の国においては「たまに少量食べる程度であれば問題はない」という意見もある。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)