美容家でタレントのIKKOが、テレビ番組『全力教室』で“悩めるダメ女”たちを相手に授業を行った。部屋を片付けることができずに汚部屋にしてしまう女性たちに「美しさは内面から」というテーマで授業をするはずが、全く別の話題で白熱した。特に「IKKOさんは無理している」と指摘した女性には「お黙り!」「嫌なら出て行きなさい!」とIKKOも厳しい口調となり、カツラをはずしてみせる事態にもなったが、最終的にはIKKOの愛に溢れた優しさが伝わり全員が涙ながらに感激していた。放送後にはカツラを取らせた女性がブログで公開感謝状を載せており、授業を受けながら彼女の心境がどう変化したかがよく分かる。
11月17日に放送された『全力教室~成功へのマジックワード~』で、IKKOが講師を務め“部屋を片付けられない”などの悩みを持つ女性たちを相手に授業を行った。IKKOは黒板に「日々の環境が美しさを決める」と書いて、この日の大軸テーマを示した。
女性たちが抱える悩みは、単に部屋を片付けられないということではなかった。夫と会社を経営しているという女性は、忙しくて家事ができないので離婚されるのを恐れていた。多忙な中で洗濯だけはやっているが、休日はストレス発散のためにエステ通いで家事をする時間が無いという。
彼女の悩みを聞きながら、「相手が好きならば自分が変わること。何かを捨てなければ夢はつかめない。自分が折れて家事をしなさい」とIKKOはアドバイスした。すると他の女性から、「IKKOさんは何かを捨てたんですか? 何もかも持っているように見える」と質問があった。
そこでIKKOは、「なぜ、私はカツラをかぶらなければならないのか?」とその理由を明かした。彼は40代の時にダイエットと仕事のストレスから髪の毛がほとんど抜けてしまった。その辛さは自殺を考えたほどだったが、「私は美容家だから、誰よりもキレイなカツラを作ればいいんだ」と思いなおしたのである。
そうしたやりとりが続く中で会社経営やタレント活動をする八幡愛さんが「IKKOさんが、一番無理しているのではないですか? もう、無理しなくていいじゃないですか。そのままでいいじゃないですか」と発言したところ、IKKOの目の色が変わった。「あんた何言ってるのよ! 経験もしない女から言われたくない!」と言い返す。
八幡さんはさらに「何で自分自身を包み隠すの?」と続けたが、「包み隠す? やってやりましょうか!」とIKKOは自らカツラをむしりとったのだ。教室の全員が息を呑んだが、八幡さんは「凄く無理しているように見える」と食い下がった。
「たとえば禿げて髪の毛が無くなった女が、どうやって生きるのよ? あんた、ここで髪を剃っちゃえば?」と詰め寄ると、八幡さんは「なんで私が剃るんですか? 私は女だから髪は長い方がいい」と返す。「じゃあ、私は何なのよ?」と言うIKKOに「IKKOさんはIKKOさんでしょ」と答えると、「そうやって逃げるの?」と問い返される。
言い合いはさらにエスカレートして、IKKOから「あなた、嫌だったら出て行きなさい!」と言われるも八幡さんは「出て行きません」とはね返す場面もあった。「泣けば済むと思ってるの?」、「泣いてません!」といった鬼気迫るようなやりとりもあったが、最終的にはIKKOの思いが伝わったのだ。
八幡さんはブログ『☆あいあいんしゅたいん☆』で、11月19日に「IKKOさんへの公開感謝状を書いてみた」と題して次のように伝えている。
IKKOがカツラを脱いだ時にはその行動が理解できなかったが、「IKKOさんが生きてきた人生を包み隠さず話して、私たちと向き合おうとしてるんだということを伝えようとしてくれたんだと、今では理解しています」という。
授業でのあの論戦で、彼女は「IKKOさんは男や女を超えた存在であるから、『男は男らしく』『女は女らしく』という環境に引っ掛かってきたはずなのに、なぜ女性とはこうあるべきという指導ができるのですか?」ということを訴えたかったようだ。彼女の話を途中で遮るIKKOに、「先生なんだからちゃんと生徒の話聞けよ…」と不満を感じていた。
しかし話をしているうちに、「IKKOさんは、先生とか生徒とか男とか女とかを超えて、一人の人間として今、私に向き合ってくださってるんだって気づきました。その思いに気づくと、自然と素直に言葉のひとつひとつが心に響いてきました」と明かす。
IKKOは授業の中で、「優しさだけでは舐められる。怖いだけでは人はついてこない。愛情で正面から向かっていくこと」と語ると、八幡さんに「あなたに感謝するのはただ1つ、ここから逃げなかったから、私は好き。『帰りなさい』と言われると本当に帰る世代ですから」と伝えている。
その八幡さんはブログで、「私は学生時代、先生からはずっと諦められてきました。この子に何を言っても意味がないと思われると誰からも怒られなくなります」と体験を綴ると、「IKKOさんが、私がおとなしくなるまで諦めずに声を荒らげてでも向き合ってくださったこと、忘れません」と感謝している。IKKOの熱い思いは彼女の過去の傷までも癒したのだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)