昨夜TVニュースでも報じられましたが、東京電力福島第一原発からは250kmも離れている盛岡市でも、水道水から放射性物質が検出されました。天に向かって開放されているという点では、水も土も同じ。食の安全について、ますます心配は募るばかりです。
岩手県は、22日に県環境保全課が盛岡市飯岡新田地区にある消火栓の水道を調べたところ、水1キロあたり3.36ベクレルの放射性ヨウ素131が検出されたことを発表し、盛岡市上下水道局みず管理課は、23日に水道水(新庄浄水場系)からヨウ素131が水1キロあたり5.29ベクレル、セシウム137が同0.13ベクレル検出されたと発表しています。
県は1988年に調査が始まって以来の初めての検出としており、福島原発事故に由来するものであることは間違いないでしょう。これらの数値は基準値以下で、乳児から大人まで人の健康に影響を及ぼす数字ではないということですが、放射線医療の専門家が “粘膜から吸収されるので、小さな子はうがいなどにも気をつけた方が” とTVで発言したこともあり、心配の声が広がっています。
北上山系を越え、盛岡にまで放射性物質が飛んできたことを驚いていた所、アイスランドのレイキャヴィークでも微量ながら放射性ヨウ素が確認され、オーストリアの気象庁は「今回の福島原発の事故で放出されたセシウム137の量は、チェルノブイリ事故の20~60%に相当する」という推測を発表したというではありませんか。
福島原発の状況が不安定な限り、意図的な放出あるいは爆発によって、放射性物質の飛散は今後も続くのでしょう。地震および津波の被害に泣いてきた国でありながら原発推進政策を進めて来た日本、そしてこの期に及んでも副社長が廃炉を明言できないという東電の無責任さに、世界中から非難が集中するのは当然の話です。
早くも水道水から検出されるそうした物質の値が下がったとして、東京都では規制が解除されたと報じられていますが、それもこれも福島原発の状況次第、今後も当分一喜一憂が続くわけです。また流れ行く水とは異なり、“溜めてしまう” 土壌への汚染が懸念されており、これから話題になってくるものと思われます。
人の口に入る全てのものを生み出す水そして土。この2つを放射能物質まみれにしては、農業、畜産、水産、酪農いずれにおいても安全な食品など何一つ手に入らなくなる。このことを、政府および東電を含む全国の電力会社に強く訴えたいものです。
(TechinsightJapan編集部 古瀬悦子)