writer : techinsight

同人誌を無料で翻訳し公開するインターネットサービスサイト「Moezon.com」(モエゾン・ドットコム)開設

日本が誇る漫画文化は、商業作家だけが描くものではなく、コミケなどで流通する同人誌も大きな規模を持っている。しかし、国内流通だけで終わってしまい、世界に向けて発信する機会がないのが現状だ。
そこで、今般、開設されたのが同人誌を無料で翻訳し公開するインターネットサービスサイト「Moezon.com」(モエゾン・ドットコム)である。

「Moezon.com」は、日本が世界に誇る「漫画」に代表される同人誌を、日本から世界に向けて発信・公開し、さらに、同人誌を製作・発行するサークルへの海外からの問い合わせ窓口も代行する。

開設主体のフットステップスでは、同人誌サークルからの委託を受け、作品の翻訳から、翻訳版の製作、「Moezon.com」での公開までの全てを無料にて行う。

公開する作品には広告を掲載し、この広告料収入を同人誌製作者と分配。
フットステップスは、作品の翻訳費等公開に要する経費に充当する。

“スキャンレーションサイト”と呼ばれる著作者に無断で行われる翻訳ならびに公開や、P2Pでの公開による海賊版行為が多数横行していることで、製作者の利益享受の妨げとなっているが、これは、もとを正せば「日本の漫画や音楽を入手したいにも関わらず正規のルートが無い」ためであり、そのような違法行為に頼らざるを得ないという側面があるのも事実である。

そこで、フットステップスは、同人誌製作者からの委託に基づき、許諾を得て作品を同社が翻訳し、「Moezon.com」にて広告付きで無料公開するという、世界中の漫画・アニメファンに向けて正規での流通ルートを、製作者には恒常的な作品公開の機会と利益を確保する場を構築した。

「Moezon.com」は、無料のPC版からのスタートとなるが、近日中に高解像度作品や青年向け作品をiPhone/iPadやAndroid等のスマートフォン向けビュアーで閲覧出来る有料プレミアムサービスを開始していく。

ビジネス的には、広告モデルと会費型有料モデルの両方を兼ね備えた形となるが、同人作家にとっては、自作の公開によって収益が上げられるかどうかの試金石の一つともなりそうだ。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)