イースターホリディ期間中、南アフリカ人が一時戦慄した事件が起こった。4月3日、南アフリカノースウェスト州のベンタースドープ(Ventersdorp)で極右翼党首ユージン・テレブランシュ(Eugene Terre’blanche)が雇っていた黒人2人に殺害されたからだ。
ユージン・テレブランシュは白人だけの独立国家樹立を目指す極右白人至上主義団体「アフリカーナー抵抗運動(Afrikaans Resistance Movement:AWB)」の議長で、白髪交じりのひげを蓄え、よく馬に乗っていた。メンバーはアパルトヘイト中の南アフリカの国旗がプリントされたカーキ色の服を着ており、AWBのシンボルはナチスドイツのカギ十字に似ている。テレブランシュ自身も黒人警備員を襲撃し、2001年から3年間刑務所に収監されていたこともあり、過激派として知られていた。
そんな過激なテレブランシュを殺害したのは15歳と21歳の黒人。2人はテレブランシュの農場で雇われており、賃金を去年の12月から支払われていないことでテレブランシュと口論、殺害に至ったと自白している。テレブランシュは顔と頭部を負傷、ベッドの上で死亡しているのを発見されている。ベッドのそばにはパンガやKnobkerrieと呼ばれるこぶのついた棍棒があった。
この事件で、現在沈静化しているAWBが南アフリカ各国で活動を過激化するのではないかと懸念されている。一部関係者によると、金曜日に行われるテレブランシュの葬儀の後に復讐を行うといううわさが流れ緊迫した状態となったが、AWB代表者によると「復讐は行わない。この事件に関する暴力的な事件が起きたとしてもAWBとは関係ない。」と述べている。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)