writer : techinsight

曲名を指定するだけで特徴の似た歌が検索できる音楽検索技術を開発 KDDI研究所

LPやCDの時代を懐かしむ人は、iPodや着うたの時代になって、「音楽の楽しみが薄れてしまう」と危惧するのだが、それは大きな誤解である。
大量の音楽データベースの中から自分の好みの曲や曲調を検索して、新たな視聴体験ができるという別次元の楽しみ方へと移行しつつあるのだ。
すでにiTunesのGeniusではよく似た傾向の曲をランダムに検索表示してくれる機能を実装しているが、今回紹介するのは曲名だけで、傾向の似た曲を検索するシステムである。KDDI研究所が開発に成功した。

このたび開発された、気まま「にたうた検索」では、楽曲からの特徴抽出処理を大幅に軽量化することにより、Webブラウザのみを使い、任意の曲を検索キーとして指定できる高速類似楽曲検索を実現した。

ユーザがPC上に保管しているMP3ファイルなどを検索キーとして入力すると、Webブラウザ内で特徴抽出を行い、数秒以内に特徴量のみを検索サーバに送付し、検索処理を行う。

本開発では、検索結果への悪影響を抑制しながら、特徴抽出の間引き処理を行う新たな技術の実装により、一般的なポップス楽曲であれば従来手法の1/4程度の時間で検索を行うことができるようになった。

今回の開発により、ユーザは自分にとって馴染みのある楽曲を検索キーとして利用することが可能になり、好きな楽曲を発見することが容易になる。

PCを補助的に利用することにより、操作性が限定される携帯端末における音楽の検索の利便性が大きく改善され、着うたコンテンツの利用促進につながることが期待される。

さらに、PC内の音楽ファイルをきっかけとした検索技術の開発により、PCや携帯といった動作環境や音楽コンテンツの提供元を問わず、音楽コンテンツを楽しむことができる新たなコンテンツサービスの実現が期待できる。

本技術は、2010年4月22日より、KDDIの実験サイト「au one ラボ」の「にたうた検索」サイトにてテストすることができる。このアプリケーションでは、Creative Commonsライセンス条件で公開されているJamendo社の楽曲を検索対象にしており、auの対応機種であれば、検索結果に含まれる楽曲の着うたのダウンロードも可能になっている。
(TechinsightJapan編集部 真田 裕一)